安倍首相が来年の通常国会まで、内閣改造をしない、といいました。首相が続投しても、これまで内閣改造は1年くらいの間隔で行われ、そのたびに相当な数の閣僚が交代してきましたね。いい仕事をやってもらうには、せめて2,3年、できることなら3,4年は留任してもらったほうがいいのではないでしょうか。
民間の会社にたとえれば、首相は社長、閣僚は副社長か専務、常務といったところでしょう。これまでのように、首相が毎年のように代わり、閣僚も同じように入れ替えられる。こんなことを民間企業でしていたら、企業はつぶれます。せっかく安倍首相が3年間は、国政選挙をしなくてもすむかもしれない政治環境を手にしたのですから、閣僚も短期に代えないようにしてもらいたいのです。
閣僚になるのが政治家の大きな夢であり、選挙を勝ち抜いていくのに、ハクつけになります。大臣予備軍というか、大臣病患者は多く、次々に患者を大臣にしてあげないと、不満が高まり、総理は自分の座も危うくなります。総裁選での論功行賞もしてあげなければなりませんしね。こうしておかしな政界慣行が生まれたのでしょう。専門的な知識、経験を持った閣僚で強力な政権を作っている主要国は多いのです。世界は複雑になり、素人では責任者を務められない時代になりました。
首相は自分の任期を自分では決められません。閣僚の任期は首相が決断すれば、これは決められますよね。新内閣の誕生とか、内閣改造の状況を迎えると、政治メディアは新しい閣僚名簿の取材に懸命になります。新しい内閣の顔ぶれが決まると、軽量内閣だの、適材適所の人選であるなど、様々な論評がなされます。それは必要であるにせよ、それだけでは不十分と思います。
政治メディアにもっと期待したいのは、閣僚が行政に対する経験、知識を持ち、官僚を上手に使えるようになってもらうにはどうしたらよいかを論じることです。せめて在任期間を延ばすことを、もっと主張してもいいのではないでしょうか。一年くらいで閣僚が代わってしまうということは、閣僚はいてもいなくてもよい軽い存在であると、告白しているようなものではないでしょうか。
安倍政権は民主党政権のように、官僚集団を敵視せず、その能力をできるだけ引き出そうとしています。政官がバランスよく協力することは絶対に必要です。ただし、官僚には、自分らの省益や権限の拡張に懸命になる本能がすりこまれています。前例踏襲も横行する世界です。官僚もポストが頻繁に変わるので、一度間違った方向に走ってしまうと、それをなかなか修正しようとしない集団でもあります。自らの責任をとらない術にたけた組織です。そのことを踏まえ、閣僚も相当な力を身につけいかないと、官僚に巧妙に使われるだけの存在になり下がってしまいます。
知事や市長は逆に、長期政権すぎて、周辺との癒着が生まれがちです。わたしの知人が、ある県の知事候補にされかかれましたが、「現在の知事は長期政権で、今、自分が勝つのは容易ではない。3、4選もすると、業界との癒着が原因の汚職か何かで退任に追い込まれるよ。それを待つ」というのです。その通りになりました。最近は、首長の不祥事は以前に比べ、かなり減っているようですがね。
首長の長期政権、閣僚の在任期間の短命さという極端な対比は日本の政治の大きな問題点です。安倍さん、「来年の通常国会までは内閣を改造しない」ではなく「閣僚も長期間、やってもらう」くらいのことをおっしゃって下さい。
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