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薬局バブルを痛感する

2013年09月12日 | 社会

    薬局バブルを痛感する    2013年9月12日

 

  この年齢になると、以前にまして病院、医院のお世話になります。循環器内科、歯科、眼科、皮膚科など、毎週一度はどこかに通っています。その帰りに立ち寄って、薬を買うのが調剤薬局です。病院、医院のすぐそばにあるので、便利は便利です。素朴な疑問は、こんなにたくさんの調剤薬局があって、よく経営をやっていけるな、ということです。

 

 「処方せん、受付」と大きな看板をかかげた調剤薬局は、だいたいは2,3人あるいは3,4人の零細店です。駅の周辺になると、医師一人の小さな医院の脇にもしばしばあります。1医院に1薬局といってもいいでしょう。医薬分業といって、医師がすすめてくれた薬は調剤薬局で買うようになりました。それは必要なことでしょう。問題はこんなに、調剤薬局が乱立しているのはなぜだろう、です。他の業界では、こんなに、零細な店が乱立していると、共倒れになります。

 

 政府が設けた社会保障制度改革国民会議は、高齢者の負担増、給付費の抑制などを求めるとの報告書をまとめ、政府は閣議で推進プログラムを決めました。社会保障費は年間100兆円を超え、このなかで高齢者向けの医療費、介護、年金の費用は日本の高齢化とともに、年々、増える一方です。このままでは、若い世代が高齢者を背負う費用はもっとおおきくなりますし、財政も破綻しかねません。このことはお年寄りもよく理解し、これまでのように国や社会が全面的に面倒を見てくれる時代は終わったと覚悟しなければなりませんね。

 

 それはそうとして、医療、医薬行政には、たくさんの問題、矛盾があり、それを放置したまま、高齢者に負担増を求めてはいけませんよね。その一例が、薬局が乱立している「薬局バブル」です。全国には5万3千もの薬局があるそうです。コンビニは4万4千店ですよ。こんなにたくさんの薬局があって、経営が成り立っているのは、それでも利益が出るような報酬体系があるからです。

 

 みなさん、もう一度、薬局で受け取った領収書を見てください。調剤技術料、薬学管料、薬剤料など、いろいろ書いてあります。わたしは医療、医薬行政に詳しくないので、その説明はここではしません。インターネットで検索すると、それらは何なのか、なぜ必要なのかなどの説明がなされています。わたしが申し上げたい点は、いろいろ理由、理屈を作って、調剤薬局が乱立できる仕組みが巧妙にできており、政治も行政もその改革に及び腰だ、ということです。

 

 わたしは病院、医院の帰りに調剤薬局によります。「調剤技術料とはなんですか」「薬学管理料とはなんですか」と聞くと、困ったような表情を浮かべ、訳の分らない返答をします。医師が患者に必要な薬の種類、分量を決めます。それらの薬は医薬品メーカーが包装しております。ある種の業務はあるにせよ、かれらが患者さんに請求する金額は多すぎるのではないか、と思っているひとは多いでしょうね。薬局に食ってかかっているひともよく見かけます。

 

 先日、皮膚科医院の帰りに、塗り薬を薬局に行って買いました。明細をみました。調剤技術料135点、、薬学管理料41点、薬剤料4点です。合計の金額は1点につき10円として、180点で1800円です。薬剤料は40円ですよ。かれらが何をしたかというと、2種類の軟膏を混ぜ、小さな容器に1ヶ月分、詰めてくれたこと、一日2回、塗ること、冷暗所に保管しておくことなどの説明です。分りきったこと、医師からすでに聞いたことがほとんどです。それらの対価が、薬剤の何十倍もの マージンです。別の薬局では、4週間に1度、循環器内科の関係を薬を何種類か買います。ほぼ毎月、同じ薬を買うのです。もうかれらの説明はいつも同じで、聞きあきています。それでも毎回、同じマージンを要求されます。

 

 本当に不可解な薬務行政です。不可解な結果、患者さんは意味不明の高いマージンを払っているのです。最後にもうひとつ。わたしはドライ・アイの持病があり、2種類の目薬を毎日、差しています。このうちのひとつが今は、一般のドラッグストアで買えるようになりました。4本入り1箱が約600円です。まったく同じものを調剤薬局で「買いたい」といったら、いくらだと返事をしたかと思いますか。2店で「750円です」と、同じことをいわれました。あきれましたね。なお、カットの写真はこの記事と直接、関係はありません。たまたま通りかかったので、写真を撮っただけです。念のため。

 

 

 



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1 コメント

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4年もたてば (駒形ファン)
2017-09-05 14:15:54
時代の移ろいを感じます。
中村さんと同じ感覚を多くの国民が抱いていたことを国が示し、いよいよ改革が始まります。
2018年は特別な年になりそうですね。
この問題は財務省が問題視するようになり、厚労省は何も言えない状態になりました。

調剤薬局の薬剤師さんは”技術”の何たるかを多職種から学ぶ必要がありました。が、それを怠り、蔑ろにし続けたと他業種からは評価されました。その結果が改革の内容でしょうね。
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