中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

「目的意識」

2013年06月20日 | コンサルティング

 昨日はある電機メーカーで、外国籍社員を対象にした研修の機会をいただきました。受講者の国籍は、アメリカ、インド、インドネシア、中国、韓国のほか、日本人もお一方いらっしゃいました。受講者がこんなにも多国籍というのは、初めての経験でしたので、とても貴重な時間になりました。

 この研修のテーマは、生産性の向上を目的に仕事の効率的な進め方を学ぶ「ビジネス整理術」です。

 研修の始めに、それぞれ現在の仕事の状況を確認していただきました。縦軸に「ストレスの有無」を、横軸に「仕事が予定通りに進んでいるか、いないか」の2軸で答えてもらいましたが、結果は外国籍の8割の人は、「ストレスはあるが、仕事は予定通りに進んでいる。」と答えました。通常、同じ質問をすると日本人の9割は、「ストレスがあり、仕事は予定通りに進んでいない。」と答えます。

 この違い、一体どこから来るのでしょうか?

 私は、これまで「仕事が予定通りに進んでいれば、ストレスが生じることはない。」のではないかと考えていたので、この結果に驚き、「仕事が予定通りに進んでいるのに、ストレスを感じるというのはどうしてですか?」と質問をしました。

 すると、答えは「予定通りに仕事を進めるために、一生懸命やっている。だから、ストレスが生じる。」とのこと。

「一生懸命にやるから、仕事は予定通りに進む。」 しかし、そのためにエネルギーを注ぐから大変であり、ストレスになるということです。

 目から鱗が落ちるような一言でした。同じストレスであっても、仕事をきちんとやろうすることによって生じる前向きなストレスは、名づけるならば「ポジティブストレス」と言えるのではないでしょうか。

一方、仕事が予定通りに進まないことによるストレスは、「ネガティブストレス」と言えるのかもしれません。

 さらに、研修参加の目的も「優先順位のつけ方を見直したい」、「仕事の計画は立てていても、予定外の仕事が入るとスケジュールがずれる。バッファーが足りないことが問題なのかを確認したい」など、明確でした。

 仕事に対する姿勢、研修参加の目的意識が、自分を含めた多くの日本人と比べて、とても明確だなと感じました。

 この違い、国籍の違いによるものなのか、個人差によるものなのか一概には言えないと思いますが、私にとっては実に衝撃的で、今後の研修に活かせないか考えているところです。

 さて、冒頭の写真ですが、インド国籍の受講者の研修アンケートです。英語で書かれたアンケートは初めて。とても嬉しくなりました。

彼は、研修に積極的に参画し研修を盛り上げてくれただけでなく、なかなかにほめ上手でもあるようですね。

 最後に、この研修、もちろん英語ではなく、日本語で行なったことを付け加えておきます。

(人材育成社)


この男の居場所

2013年06月19日 | コンサルティング

ちょっと恐ろしい顔をしたこの老人の伝記映画は2001年に作られました。老人の名前はジョン・F・ナッシュと言います。

彼は「ナッシュ均衡」で知られる非協力ゲームの中心となる概念を20代前半で作り上げたことにより、1994年にノーベル経済学賞を受賞しました。受賞時の年齢は65歳。業績が認められるまでずいぶん長い年月がかかりました。

ではその間彼は何をしていたかというと、ランド研究所、MIT、プリンストン大学という超々一流の組織で研究を続けていました。一見とても華やかな人生のようですが、実はその間、統合失調症に悩まされ続けていました。幻視や幻聴のため職を失うこともありました。

私が感心するのは、統合失調症でありながら辛抱強く彼を支え続けた周囲の人たちの態度です。さらに、一時は完全に「過去の人」であった彼の業績を評価し、ノーベル経済学賞を与えた委員会の力量にも感服します。

ひるがえって、私たち日本の社会はどうでしょうか。ナッシュ博士のような人に、居場所を与え続ける組織があるでしょうか。営利企業では無理だとしても、大学はそのような場所であっても良いのではないかと思います。

さて、ナッシュの半生を描いた伝記映画ですが、現在DVDで観ることもできます。大変面白い映画ですの、ぜひご覧になってください。

「ビューティフルマインド」2001年、ドリームワークス

ナッシュ役をラッセル・クロウが、妻のアリシア役をジェニファー・コネリーが演じています。作品は2001年度のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞しています。

(人材育成社)


「不快指数 急上昇中」

2013年06月18日 | コンサルティング

「79.9」 これ、何の数値かわかりますか?

正解は、今日6月18日の不快指数です。不快指数(discomfort index)とは、夏の蒸し暑さを数量的に表した指数で、1957年に米国で考案されたそうです。体に感じる蒸し暑さは気温と湿度に加え、風速等の条件によっても異なるため、不快指数は必ずしも体感とは一致しないものなのだそうです。

また、元々の体質によってもかなり異なるようで、日本人は不快指数75で約9%の人が、77で約65%の人が不快に感じるのだそうです。したがって、今日はとっても多くの人が蒸し暑く感じたはず。

一か月間の不快指数75以上の日数を不快日数というそうですから、今日はその一日としてカウントされていますね。

 我々、人材育成社の二人は暑いのが大の苦手。生まれ月との関係の有無はわかりませんが、二人とも12月生まれです。これからの季節は、修行僧になったような気持ちで乗り切らなければなりません。

 ところで、研修講師にとっては、研修中にジャケットを着用すべきか否か、これがなかなかに悩ましい問題なのです。

クールビズという言葉が認知されて早8年。私自身は、研修の開始時と終了時のみ着用し、それ以外の時間は受講者の皆さんに「失礼します。」と一言断って脱いでいます。しかし、「講師はジャケットを脱ぐべからず。」という一説もあるようで、かたくなに着用をしている人もいます。実に悩ましい状況です。

 さて、冒頭の写真ですが、京都のある寺院に掲げられていたものです。

「希望に起き 愉快に働き 感謝に眠る。」

頭では十分理解しているつもりなのですが、暑い夏はなかなかこの通りとはいきませんね。

「寝苦しい夜に安眠できず 寝不足のまま起きる。」

今年も既にこういう日々に突入していますが、どんなに暑くても、せめて「愉快に働く。」 は実行しようと思うのです。

さあ、この夏はまだまだ始まったばかり。長期戦に身も心も備え、夏を乗り切りましょう!

(人材育成社)


野生的な人

2013年06月17日 | コンサルティング

深夜、近所の駐車場にいた猫です。カメラのフラッシュで光った目がこちらを向いています。我が家の庭にも、深夜近所の猫が出没して悪さをすることがあります。

猫は昼間はぐったり寝ているだけのぐうたらな動物というイメージですが、夜は野生動物と化して街を闊歩しています。

野生とは自然環境に適応し、生き残っていくために発達した本能です。すると、人間にとっての野生とは「組織」という環境の中で生き残るためのスキル(能力)なのかもしれません。

「あの人は会社の中での立ち振る舞いが上手い」と言うと、調子の良い、ゴマスリタイプの人間が頭に浮かびます。しかし、雇用が不安定になり、いつクビになるかわからない状態が続けば組織は「自然」の状態に近づいていきます。すると、会社の中でうまく立ち振る舞える人は「野生的な人」ということになります。ちょっとイメージが違ってピンときませんが。

これからの世の中、「野生的な人」の定義が変わってくるかもしれません。

さて、だいぶ昔の話ですが、夜中に庭に入ってきた猫を撃退しようとレーザーポインタを照射したことがあります。猫は全く平気な様子で居座っていたので、顔に光を当てたりしていました。すると、当時3歳の娘が私のところにやってきて、「そんなことしちゃいけないんだよ」とひとこと言って去っていきました。私は大いに反省しました。

(人材育成社)


「平均年齢74歳のさいたまゴールド・シアター」

2013年06月16日 | コンサルティング

 先月末にパリで初の海外公演を終えた「さいたまゴールド・シアター」。パリでは字幕付きで上演され、200人余りの観客からカーテンコールを促す手拍子が起きたそうです。パリ公演の成功を収めて、ここ最近はテレビや新聞で軒並み話題になっている劇団ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。私の知り合いがこの劇団員であるため、本日観劇することができました。

 演目は、過激な老婆たちが法廷を占拠して男性検事らを裁判にかける「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」で、武器を持ち、爆弾を放ち、爆殺ありの激しい情念に満ちた闘争劇。最高年齢87歳の男女が動と静を織りなした舞台でした。

 劇団員は、2006年に演出家の蜷川幸男さんが「55歳以上、経験不問」の条件で募集し、1,200名の中から選ばれた41人の方たちです。

劇団員のキャリアは元教員、自衛隊員、会社経営者など実に多彩とのことですが、舞台の上で各々の経験を背負い芝居に臨むその姿は、存在感と個性と時を重ねてこられた自信にあふれていました。

 私には、平均年齢74歳の老(若?)男女が、役を通じてそれぞれの人生という舞台の主人公を演じ、台詞を通じてそれぞれの人生を語られているように感じられました。

  舞台上のそんなお一人一人を見ていて改めて思ったのは、人には積み重ねてきたキャリアがあり、それは良いとか、そうではないというものではなく、それぞれが歩んだ轍であり、輝きをもっているものだということ。

キャリアの定義自体は理屈では理解していたつもりでも、実は大事なところがわかっていなかったのかもしれないと、今日の舞台の上の皆さんを見てそう思いました。

  役者の皆さんのこれからの舞台を楽しみにしつつ、私も自分のキャリアを自分で実らせていかないと!と考えたひと時でした。

(人材育成社)


申込受付を終了しています・・・

2013年06月15日 | コンサルティング

うっかりしていたことは確かですが、このセミナー(片付けだけでは上手くいかない!仕事の渋滞を解消する 会社を伸ばすための「ビジネス整理術」東京商工会議所・中央支部様主催)は、受講希望者多数につき受付を終了してしまいました。

実は、弊社のホームページから東京商工会議所さんの弊社セミナーのページにリンクを張ろうとしたのですが、すでに受付を締め切っていたというわけです。・・・8月のセミナーですから、まだ十分余裕があるだろうと油断していました。

こうした公開セミナーは、概ね開催日の2週間から10日くらい前に集中して申し込みがあるそうです。その理由は、当面の仕事の都合を調整して、参加できることが分かったタイミングで申し込むためらしいです。

以前ブログでもお知らせした「ほめる・叱る」セミナーもかなり早めに満員になりましたが、この「ビジネス整理」というテーマの「足の速さ」は尋常ではない感じがします。

弊社は「人材育成」に関わる仕事全般を行っていますから、特定のテーマに偏るのはどうかと思いながらも、ご要望にはお応えしていきたいと思っています。

現在、「ビジネス整理」および「ほめる・叱る」という2大テーマについて弊社主催の公開セミナーを企画しています。決定し次第ご案内いたしますのでご期待ください。

(人材育成社)


「オノマトペ」

2013年06月14日 | コンサルティング

 「ムスッ?」「ブスッ?」 どう見ても不機嫌そうなこの表情。写真の犬を、皆さんはどのような言葉で表現しますか?

この犬が飼われている家の前を通りかかった時、何故か写真を撮りたい衝動にかられ、「撮ってもいい?」と犬に尋ねたところ、この表情をされました。

 今、「オノマトペ」の人気が急上昇しているそうです。

「オノマトペ」(仏:onomatopee)とは、「もちもち」、「はらはら」、「どどーん」などの擬音語、擬態語のことで、事柄やイメージを短い一言で伝えられる良さがあります。

朝のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、驚きを表す語として使われている「じぇじぇじぇ」もその一つ。

 オノマトペは、少なく見積もっても5,000語以上あり、情感を表す言葉として無限に作れるのだそうです。

先日のNHK「クローズアップ現代」では、コンビニや国会、医療現場などを訪ね、増殖する「オノマトペ」の謎を検証していました。研究によって分かってきた「オノマトペ」を処理する際の脳の働きなどから、オノマトペの魅力が語られていました。

食品の場合「もちもち」、「もっちり」とつけると売り上げが急上昇するデータもあるそうです。

 印象的だったのは、陸上の監督が「オノマトペ」を指導に取り入れ、練習に革命をもたらした事例。スタートダッシュの練習をしている選手に、「少し膝の屈伸を使いなさい。」と言う意味で「ぐい」「ぐい」「ぐいっ」という声をかけていました。

インタビュアーの、「ぐい」を使わないで指導するとしたら、どういう感じになりますか?との質問に対して、

1.   足首を曲げて、

2.   膝を下に向けて、 

3.   自分の重心を前に行った時に、

4.   逆の膝を引き上げて、

5.   地面と水平になるように、 

というように沢山の言葉が必要とのこと。

 テレビを見ていた私は、「ぐい」の定義は? 監督と選手で異なる「ぐい」をイメージすることはないの?と思ったのですが、「ぐい」が効果をもたらすには、やはり監督と選手の間に、「ぐい」がもたらす状態の共通認識がある。さらには、その前提として監督と選手の間に信頼関係があるとのことでした。

 やはり「オノマトペ」も信頼関係あってのことだったのですね。

 普段、問題解決やコミュニケーションの研修では、形容詞を始めとした「あいまい表現」は人には伝わらないため、論理的に伝えることや定量化の重要性を力説しているのです。事柄やイメージを一言で伝える表現としては、必ずしも定量化することがベストというわけではないのだなと思いました。情感の言葉「オノマトペ」・・・それもあり。

 ならば、研修に「もちもち」をつけたら人気が出るか?・・・出るわけがない!それは調子に乗り過ぎでした。

(人材育成社)


旧市庁舎と赤い水玉模様

2013年06月13日 | コンサルティング

仕事柄日本のあちらこちらに出かけることが多いのですが、ここ静岡は大好きな街のひとつです。

とくに静岡市議会議事堂(旧静岡市庁舎)は素晴らしい建築物です。この建物の塔屋のかたちは南欧や中東あたりの寺院を思わせるエキゾチックなデザインになっています。そして、建物の中も素晴らしい。階段の手すり、部屋の照明器具のかたちなど、見飽きることがありません。

古典的なイメージの議事堂ですが、手前の赤い水玉模様のバスと妙にマッチした感じがしてカメラを向けました。このバスの模様を見てすぐわかると思いますが、現在静岡県立美術館で開催されている草間彌生展のPRです。

古い趣のある建築物とちょっとシュールな現代美術の組み合わせですが・・・思ったほど違和感を感じないのは草間彌生が1929年生まれ、旧静岡市庁舎の完成が1934年と「姉妹」と言えそうな年齢だからでしょうか。

この「2人の姉妹」のように、私もずっと「年齢不詳の仕事」ができたらなあ・・・と思いました。

(人材育成社)


旧東海道を歩いて悩む! 「プロセス」か「結果」の選択  

2013年06月12日 | コンサルティング

 プロセスか、結果か・・・永遠の課題です。どちらを優先するのか。 旧東海道を歩いている時にもこの課題に直面しました。 京都三条大橋のゴールまで約490キロの道のり。一回に歩く目標距離は10キロくらいと決めて自宅から歩き始めた先日。今回の目標は生麦。幕末の1862年に生麦事件があったあの生麦です。  

                                                  
 今回のコースは過去に途中までは歩いたことのあるところです。また、普段移動の車窓からも眺めている道のりでもあるため、特に新鮮味はないだろうと考えていました。

 ところが、いざ歩き始めると慣れ親しんでいるはずの道の途中で新たな発見があったり、旧宿場には説明書きの立札があったりで、それらを読んだり写真撮影をしたりすると、思うように歩が進まないのです。
 途中で大きな神社のお祭りに出くわして、思わず立ち寄ってお参りをしたりして、予定よりどんどん遅れてていきました。

 
 そこであらためて考えたのが、旧東海道を歩くことの意味。ゴールの三条大橋に少しでも早く到着することを目指して歩を進めるのか、もしくは必ずしもゴールは急がず、道々で出くわす思いがけない発見などのプロセスを楽しむのか・・・

 これって仕事においての「プロセス」重視か「結果」重視かの問題と同じ。 ふと、あのピーター・ドラッカーの名言を思い出しました。


「成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。」

 「仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生みださなくてはならない。」

う~ん 悩ましい。

一長一短あるけれど旧東海道を歩く旅は、以下のように決定。 

時間は掛かっても途中で出会える様々な出来事を楽しみながら、京都を目指す!ことにしました。ゴールが何年先になるのか、神のみぞ知るです。     (人材育成社)


顧客のニーズとはなにか

2013年06月11日 | コンサルティング

顧客のニーズ・・・それは営業担当者、マーケティング担当者にとって永遠の課題です。

「それ」が分かれば苦労はしないからです。「それ」を掴むためアンケート調査を行い、分析し、結果をまとめ、報告書を作り、会議室に集まって何時間も費やしたあげく結論を得ないまま「今日はこのへんにしておこうか」・・・ということを繰り返します。

さて、この画像のタオルですが、いま私(平野)がいる静岡駅前のビジネスホテルのバスルームにかけてあるものです。静岡で仕事があるときは、いつも決まったホテルを使っていたのですが、今年は新しい宿に変えました。

変えた理由は単純です。昨年まで使っていたホテルの「タオルがにおっていた」からです。ビジネスホテルの品質は多くの要因から成り立っています。価格、場所、広さ、騒音、サービス・・・。私のように「タオルのにおい」も要因の一つでしょう。

さて、今日初めて泊まったこのホテルのタオルは・・・くさくない!たぶん、次回もここに泊まるでしょう。

ホテル業界のマーケッターたちよ、会議室から出て客室のタオルに顔をうずめてくんくんしたまえ!データ分析なんて、後でよろしい。

(人材育成社)