今日、一万円札で買い物をした釣り銭の中に、久々に見る二千円札が紛れていました。最初は千円札かと思っていたのですが、どうも色味が薄いので
『…ん( -_・)?』
と思って確認してみたら、これでした。
釣り銭を手渡した店員が慌てて取り返そうとしたのですが、なかなか二千円札は捌けないでしょうから、むしろそちらをもらって行きます…と千円札を一枚向こうに返して事なきを得ました。
2000年に沖縄サミットとミレニアムを記念して作られた二千円札でしたが、当初想定していた程の利便性は発揮することか無かったようです。発行された時にはパールインクを使用した最新の偽造防止策が施されたりしたことが話題にもなりましたが、それから代々経て現在では印刷すらされていないのだそうです。
考えてみると、戦後の日本貨幣は全て5進法とでも言うべき単位で流通してきたわけです。その中に、突然『2』という単位が入ってきた時には、正直どう扱っていいやら考えさせられたものでした。
流通当初の触れ込みとしては、海外で20ドルや20ポンドといった『2』の単位の貨幣が普通に流通していることや、例えば\1,980の買い物をする時に便利だ…といったことが言われていました。しかし、既に一万円札や五千円札といった高額紙幣が何不自由無く出回っている中においては、正直あまり必要性は感じませんでした。また例え話にあった\1,980云々という話にしても税率が変われば価格設定事情が変わるわけですから、そもそもあまり根拠のある話では無かったようです。
そんなわけで、今では表面に印刷された守礼門のある沖縄県で精力的に流通している以外には、殆ど見かけなくなってしまいました(財務省の金庫には、未流通の二千円札が今でも大量に保管されているとかいないとか…)。沖縄県は1971年に本土復帰するまで米ドルが流通していた歴史があることから、『2』という単位の貨幣に抵抗は無かったようです。
しかし、こうして改めて見るとなかなかいい色合いのお札です。特に、裏面に印刷された源氏物語絵巻《鈴虫》の場面は美しいものです。『2』という単位に抵抗さえ無ければ、もうちょっと普及してもいいような気もします。
それに、樋口一葉の描かれた五千円札が戦後初の女性肖像画紙幣と言われますが、二千円札には紫式部の姿が描かれているわけですから、厳密に言えばこちらが戦後初の女性肖像画紙幣です。尤も、こちらは裏面の、しかも片隅に小さく描かれているだけなので、肖像画紙幣とは言いにくいのかも知れませんが…。
さて、これをいつ使うか…とりあえず会計時に出してもイヤな顔をされなそうな店を探ってみることにします。