今日も春を思わせるような暖かさとなりました。このままだと、ソメイヨシノの開花も早まってしまいそうてます。
ところで、今日2月27日はベートーヴェンの《交響曲第8番ヘ長調》が初演された日です。
ベートーヴェンの《交響曲第8番ヘ長調》は、1814年の2月27日に《交響曲第7番イ長調》などと共に初演されました。
現在でもそうですが、初演時でもライトな印象の第8番より重厚な印象の第7番の方に人気が集中したようです。その聴衆の反応に対して、第8番の方が気に入っていたベートーヴェンは
「聴衆がこの曲(第8番)を理解できないのは、この曲があまりにも優れているからだ」
と語ったといいます。
第8番はベートーヴェンの交響曲の中では比較的小規模な作品で、どちらかというとハイドンやモーツァルト以来の古典的な形式に則っていますが、その中にもベートーヴェンらしい独創的な工夫と表現にあふれています。なお、ベートーヴェンの全9曲の交響曲のうち、この曲だけは誰にも献呈されていません。
個人的には、ベートーヴェンの交響曲の中でこの第8番は一番演奏回数が多いものとなっています。『のだめカンタービレ』以降一般にもかなり有名になった第7番ほどの派手さと壮大さはありませんが、古典派交響曲ならではの華やかさと、ベートーヴェンとしては珍しいくらいの軽やかさを併せ持った愛すべき作品です。
柔らかなヘ長調の響きに満ちながら、ちょっとお茶目な瞬間ものぞかせる第1楽章、ハイドンの交響曲《時計》のような規則正しいリズムの上に、おすまししたメロディと所々ドタバタしたメロディが交錯する第2楽章、如何にも古典派らしい中にクラリネットとホルンの呼び交わすトリオが美しい第3楽章、1オクターブに調律されたティンパニと弦楽器群の超高速三連符が快闊な疾走感を演出する第4楽章…そのどれもが心地よく、またいかにもベートーヴェンらしい緻密さとしつこさに満ち溢れている交響曲です。私も、個人的には第7番よりもいい曲だと思っています。
そんなわけで、今日はベートーヴェンの《交響曲第8番》の演奏動画をお楽しみいただきたいと思います。ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン交響楽団による、2006年収録の演奏で御堪能ください。