今日も神奈川県は、具合が悪くなりそうな猛暑となりました。朝からかなり暑くて、とにかく用さえ無ければ家から一歩も出たくありません…。
ところで、今日7月2日はグルックの誕生日です。
クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714〜1787)は、現在のドイツに生まれ、現在のオーストリアとフランスで活躍したオペラの作曲家です。
18歳の時プラハ大学で音楽と哲学を学んだグルックは20歳の頃にボヘミア貴族のロプコヴィッツ家の支援を受け、ウィーンのロプコヴィッツ家の邸宅で働くようになりました。1741年にはミラノで最初の歌劇《アルタセルセ》を上演し、以後の5年間に少なくとも8つのオペラを上演しています。
1748年にはウィーンでマリア・テレジアの誕生日とアーヘンの和約の成立を祝うために歌劇《セミラーミデ》をブルク劇場で上演し、大成功しました。その後1749年から1752年にかけてコペンハーゲン、プラハ、ナポリなどを広く旅して各地でオペラを上演しましたが、1750年に裕福なウィーンの銀行家の娘と結婚して経済的に自立したグルックは、以後ウィーンに定住することになりました。
ウィーンに定住したグルックは、1761年に最も有名なバレエ音楽である《ドン・ジュアン》、1762年に自身の代表作である歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》を作曲しました。その後、1767年に発表された歌劇《アルチェステ》では、アリアや重唱の間をつなぐレチタティーヴォをチェンバロ伴奏のレチタティーヴォ・セッコを取り除いて劇的に構成されたオーケストラ伴奏のレチタティーヴォ・アッコンパニャートにして演技に割り込まないようにするという方式が取られ、それが後の世のオペラ改革にもつながることとなりました(この流麗で劇的な作曲様式は、リヒャルト・ヴァーグナーの楽劇の先駆ともいわれています)。
さて、グルックの代表作といえば何と言っても
ギリシャ神話を基にした歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》です。そして、その中でもとりわけ有名なのが『精霊の踊り』です。
『精霊の踊り』はオペラの第2幕第2場で、天国の野原で精霊たちが踊る場面で演奏される音楽です。中間部に哀調を帯びた旋律をもつ清楚で優雅な趣をもった音楽のため度々オペラから独立したフルートの独奏曲としても演奏されていて、後にヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーがヴァイオリン用に、ヴィルヘルム・ケンプがピアノ用に編曲もしています。
そんなわけで、グルックの誕生日である今日はその『精霊の踊り』をお聴きいただきたいと思います。エマニュエル・パユのフルートソロによる、グルックの典雅なメロディをお楽しみください。