共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

久々のオケ練〜珍しいアントニーン・レイハの《交響曲変ホ長調》

2022年07月03日 16時35分16秒 | 音楽
今日は曇りがちな空模様ながらも、うだるような暑さとなりました。そんな中、今日は久々に墨田区交響楽団のオーケストラ練習に参加するために都内まで出かけました。



今回は

◎序曲《コリオラン》(ベートーヴェン)

◎交響曲変ホ長調(アントニーン・レイハ)

◎交響曲第3番変ホ長調《英雄》(ベートーヴェン)

という、古典派作品オンパレードのプログラムです。

ところで、ベートーヴェンはともかくアントニーン・レイハって誰だ?と思われる方も多いかと思いますが、



アントニーン・レイハ(1770〜1836)はチェコ出身の作曲家、音楽理論家です。フランス及びドイツでの活動が長かったことから、フランス名のアントワーヌ・ライシャ(またはレイシャ、レシャ)、もしくはドイツ名のアントン・ライヒャと言った方が分かる方が多いかも知れません。

アントニーン・レイハ…アントン・ライヒャは24曲の木管五重奏曲(フルート・オーボエ・クラリネット・ホルン・ファゴット)をはじめとする管楽器のための作品を多数残していて、この分野での開拓者となりました。ベートーヴェンとは同年生まれで友人でもあり、音楽教育者としてはパリ音楽院の作曲科教授として、フランツ・リスト、エクトル・ベルリオーズ、シャルル・グノー、セザール・フランクといった名だたる作曲家を育て上げました。

室内楽の分野で高名なレイハですが、交響曲を生涯で何曲作曲したのか、その内何曲が現存しているのかといった統一されたデータがなく不明な点が多いものの、少なくとも4〜5曲を確認することができます。その中でも、今回演奏する《交響曲変ホ長調Op.41》はライプツィヒで楽譜が出版されたこともあって、比較的演奏される機会の多い作品です。

この交響曲は、1799年からの最初のパリ滞在期に書かれた作品です。先達であるハイドンの交響曲を彷彿とさせるような、端正ながらもウィットに富んた作品となっています。

 第1楽章は、ハイドン作品にも登場するような比較的規模の大きい序奏から始まります。その後3/4拍子の主部に入ると、躍動感のあるいたずらっぽい主題が駆け回ります。

第2楽章は、弦楽器で奏でられる夢見るような主題が中心となっています。そんな中にも時折力強いユニゾンが鳴り響く様子は、どこかベートーヴェンの《交響曲第8番》の第2楽章を彷彿とさせます。

第3楽章は、スケルツォに近い速めのメヌエットといった感じの三部形式の楽章です。特に中間部でファゴットが弦楽器のメロディーをなぞっていき、そこにオーボエとフルートが合いの手を入れるところなどは、まるでハイドンのメヌエットを聴いているかのようです。

そして第4楽章は、弱音のテーマから始まる生き生きとしたロンド・ソナタ形式です。強奏部が短調というのも、どこかで聴いたことがあるような気がしないでもありません(笑)が、最後の半音進行の盛り上がりやユニゾンにまとまるところなどは、古典派の交響曲らしい愉しさにあふれた佳曲となっています。

私としても、レイハの作品を演奏するのは初めてです。どうしても木管五重奏曲が圧倒的に有名なレイハですが、こうした交響曲ももっと演奏されていいのではないかと思われてなりません。

そんなわけで、今日はその珍しいアントニーン・レイハの《交響曲変ホ長調Op.41》をお聴きいただきたいと思います。ハイドンやモーツァルトに学び、ベートーヴェンと切磋琢磨し、リストやフランクといったロマン派を代表する作曲家たちを育てた音楽家の手による、古典派らしい交響曲を御堪能ください。



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