共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

古楽器で聴くテレマン《食卓の音楽第2集》コンサート

2021年06月05日 20時15分30秒 | 音楽
今日は久しぶりに横浜市の中心地に出かけました。やって来たのは



神奈川県庁の向かい側にある横浜市開港記念会館の講堂です。

今日はここで、昨年末にもオールモーツァルトプログラムを聴いた古楽器アンサンブルの『アンサンブル山手バロッコ』による横浜開港記念コンサートが開催されました。今回プログラムに採り上げられたのはドイツ・バロック音楽界の重鎮テレマンの代表作のひとつ《食卓の音楽(ターフェルムジーク)》です。



ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767)はドイツのエアフルト近郊で生まれ、1721年にハンブルクの音楽監督に就任して大活躍した作曲家です。生前はバッハとの親交も厚く、バッハの次男にカール・フィリップ・エマヌエル・バッハという名を命名したのもテレマンでした。

テレマンは器楽作品から教会音楽、オペラに至る様々なジャンルの作品を世に出しました。その中には協奏曲も数多く遺されていますが、実はビッグネームの作曲家で初めてヴィオラ協奏曲を作曲したという、ヴィオラ界では最重要な人物のひとりでもあります。

今回演奏された《食卓の音楽》は、テレマンが当時台頭してきていた市民階級のために自らの自信作を編集して1733年に出版した曲集です。第3集まで編纂された《食卓の音楽》の企画は大成功で、楽譜の予約販売の申し込みはドイツ内外から206名分も集まり、その購入者の中にはロンドンに滞在していたヘンデルの名前もありました。

《食卓の音楽》は3つとも『序曲〜四重奏曲〜協奏曲〜トリオ・ソナタ〜ソロソナタ〜終曲』の6種類の作品がワンセットになっています。今回のコンサートで演奏された第2集には、



上の写真のプログラムに書かれている様々な編成での音楽がラインナップされています。ここまで使用する楽器がバラバラだとなかなか一回のコンサートに全曲かかることもないので、その全曲を、ましてレプリカとは言え、テレマンが活躍していた時代に使われていた古楽器を使って演奏するコンサートはかなり貴重です。

今回演奏された第2集で特徴的なのがオーボエとトランペットですが、今回はバロック・オーボエとバロック・トランペット(ナチュラル・トランペット)が使われました。特にバロック・トランペットはあまり馴染みがない楽器ということもあって、休憩を挟んだ後半プログラムの始まる前に、





奏者による簡単な解説と軽い実演が行われ、客席のオーディエンスが食い入るように見ていました。

大正時代に建てられた素晴らしい講堂でのバラエティに富んだ《食卓の音楽》コンサートは盛況のうちに終了し、終演後には



演奏者たちに惜しみない拍手が贈られました。

このコンサートは昨年開催されるはずでしたが、折からの新型コロナウィルス蔓延によって延期となっていました。今回も、客席を市松模様状に配置したり、プログラムを受付で手渡しせずに予め客席に置いたり、アンケートを受付で回収せずに終演後客席に置いておいたりといった感染症予防対策が徹底された中での開催となりました。

まだまだ予断を許さない中ですが、それでもこうして少しずつコンサートが開催できるようになってきているのは喜ばしいことです。いい音楽の余韻に浸りながら、気持ちよく家路についたのでありました。


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