共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日は山田耕筰の誕生日〜日本人初の西洋管弦楽作品《序曲ニ長調》

2022年06月09日 16時30分30秒 | 音楽
今日は一日中曇りがちな空模様となりました。気温も予報ほど上がらず、そこそこ過ごしやすい陽気でした。

ところで、今日6月9日は山田耕筰の誕生日です。



山田耕筰(1886〜1965年)は日本の西洋音楽の分野で初めて本格的な活動を行った作曲家・指揮者です。大正から昭和時代にかけての日本における西洋音楽の基礎を作るうえで、創作と演奏の両面に大きく貢献しました。

明治19年に東京に生まれた山田耕筰は少年時代に両親を亡くしたためイギリス人宣教師と結婚した姉夫婦のもとで育てられ、この義理の兄から音楽の手ほどきを受けました。東京音楽学校(現東京藝術大学)声楽科を卒業後、三菱財閥を築いた実業家の岩崎小弥太の援助を受けて24歳からドイツのベルリンの音楽院に留学して伝統的なドイツ音楽の作曲を学び、日本人による初めての交響曲《かちどきと平和》を作曲します。

大正3年、28歳で帰国してからは日本初の管弦楽団を指揮したのをはじめ、大小さまざまな演奏会を開いて日本に西洋音楽を広めました。更に自らも多くの作曲を行い、国内だけでなく海外でも作品を発表しました。

山田耕筰の作品の数はたいへん多く、オペラや交響曲、管弦楽曲から映画音楽まで、実に幅広いジャンルにわたっています。また、多くの歌曲や童謡の作曲にも取り組みました。

山田耕筰の歌曲や童謡といえば、北原白秋の詩による『からたちの花』『この道』『待ちぼうけ』『砂山』や、三木露風の詩による『赤とんぼ』など数多くの名曲が残されています。そのメロディーはいずれも言葉のアクセントを生かし、日本語が自然に美しく歌われるように工夫が凝らされています。

さて、これまで拙ブログを御覧いただいている方はお分かりかと思いますが、ここではそんな名曲はご紹介しません(オイ…)。今日は山田耕筰の管弦楽作品《序曲 ニ長調》をご紹介しようと思います。

《序曲 ニ長調》は、26歳の山田耕筰がドイツ・ベルリンの王立アカデミー高等音楽院に留学中に、指導教官のカール・レオポルト・ヴォルフの与えた管弦楽曲作曲課題として1912年の2月から3月22日にかけて作曲されました。メンデルスゾーンやシューマンなどの初期ロマン派の音楽を模範として作曲されていて、確認できる限り日本人作曲家による事実上初の本格的な西洋管弦楽作品といわれています。

そんなわけで、山田耕筰の誕生日である今日はその《序曲 ニ長調》をお聴きいただきたいと思います。広上淳一指揮による、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏でお楽しみください。




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