今日は朝から梅雨の晴れ間の覗く、気持ちのいいお天気になりました。こんな気持ちのいい陽気が、一日でも長く続くといいのですが…。
ところで、今日6月12日はフリードリヒ・ザイツの誕生日です。『誰?』と思われる方が大半かと思いますが、フリードリヒ・ザイツ(1848〜1918)はドイツ・ロマン派の作曲家、ヴァイオリニストです(因みにネットで調べてみたのですが、確実なザイツの顔写真や肖像は確認できませんでした…)。
フリードリヒ・ザイツはドイツのテューリンゲン州ギュンタースレベンで、農家の子として生まれました。1865年に地域の志願兵となり、翌1866年に勃発した普墺戦争に加わりました。
終戦後、ザイツはマクデブルクに移り住んでヴァイオリンを学びました。1869年にはゾンダースハウゼンの楽団にヴァイオリニストとして参加し、1873年にはカペルマイスターに選ばれるまでになりました。
1876年にザイツはマクデブルクに戻り、市の交響楽団のコンサートマスターとなりました。その後、1884年にはデッサウのヘルツォクリヒェン宮廷楽団の指揮者となり、1888年にはバイロイト音楽祭のコンサートマスターを務めました。
ザイツは演奏者としてだけでなく、教育者としても名を馳せていました。ザイツにヴァイオリンを師事していた人物の中には、ヴァイオリニストを目指していた若かりし日のマレーネ・ディートリヒが挙げられています。
さて、ザイツの最大の功績といえば
《学生協奏曲》と呼ばれる5曲のヴァイオリン協奏曲を遺したことです。これはヴァイオリンの初級で学ぶ第1ポジションという音域のみで演奏できるように作曲された協奏曲で、初級編の総仕上げと中級編への導入として必ず教則本に掲載されている作品です。
個人的には、限られた音域と技術の中で演奏できるように作曲していることで多少の無理感があることは否めないと感じています。それでも、現在でもこうして教則本のマストアイテムになり続けているということは、非常に意義深いことです。
そんなわけで、ザイツの誕生日である今日は《学生協奏曲》の中から代表的作品である第5番ニ長調をお聴きいただきたいと思います。一般的には無名ながら、ヴァイオリンレッスン受講者には欠かせない初級協奏曲をお楽しみください。