今日は新嘗祭です。決して勤労感謝の日などという、わけのわからない祝日ではありません。
例年ですと神奈川県下で大々的に新嘗祭を執り行う相模國一之宮・寒川神社に参詣する…ところなのですが、今年はちょっとバタバタしているので参詣できませんでした…。
今日も私は、魔窟となりかけている押入の中をいろいろと整理していました。そうしたら、
こんなCDが出てきました。これはビートルズの数々の名曲を、アレンジャーのピーター・ブレイナーがバロック音楽風に編曲したものです。ただ、このCDのすごいところは、単にビートルズの曲を弦楽オーケストラやチェンバロを使ってバロック音楽っぽくしてお茶を濁しているわけではないというところです。
裏を見ると、全体はバロック時代に流行った合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)のかたちをとっていることが分かります。始めの5曲はヘンデルの合奏協奏曲のかたちを、次の5曲はヴィヴァルディの《四季》をはじめとしたヴァイオリン協奏曲のかたちを、次の6曲はフルートを入れてバッハの《管弦楽組曲第2番》のかたちを、次の4曲は明確に書かれてはいませんが、どうやらコレッリの作風を基にして編曲されているのですが、これが実によく出来ているのです。
このCDは、ビートルズの曲とバロック音楽との両方を知っているとものすごく楽しめます。私も最初に聴いた時には、呼吸困難になるくらい笑い転げました(汗)。ヘンデルやヴィヴァルディやバッハの作品を聴いて知っていると分かるのですが、よくぞここまで具体的なバロック作品にビートルズサウンドを寄せてきたものだと感心してしまいます。
動画が無いかと探してみたらいくつかありましたので、その中でも個人的に最高傑作だと思っているバッハの《管弦楽組曲第2番》風に姿を変えた『The long and winding road』を転載してみました。メロディはビートルズなのですが、音楽の作りは正にバッハの書いたフランス風序曲そのもので、後半ではなんとビートルズを使った見事な4声部のフーガ(!)が展開されます。決して昨今ありがちなお安いやっつけアレンジではありませんので、騙されたと思って是非聴いてみてください。
ということで、私はまたしてもバタバタに取り掛かります…。