このボーマルシェ作の《セビリャの理髪師》の原作台本は発表当初からかなり人気だったらしく、実は現在わかっているだけで15曲ものオペラ《セビリャの理髪師》があるそうなのです。
その中で今日一番有名なのはロッシーニのものですが、このDVD本にはその34年前に作曲されたイタリア人作曲家パイジェッロの《セビリャの理髪師》が収められています。このオペラは、当時女帝エカテリーナ2世の招きでロシア宮廷で活躍していたパイジェッロが女帝の御下命で1782年に作曲し、大成功をおさめた作品です。この曲はロシアだけでなくウィーンやナポリ、ミラノ、パリでも上演され、後にハイドンの後期交響曲やベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にも影響を与えたといわれています。
パイジェッロの《セビリャの理髪師》がDVD化されたのはこの映像が初めてなのだそうです。1970年、ローマ室内歌劇団での公演です。
アルマヴィーヴァ伯爵…アルヴィーニオ・ミシアーノ
ロジーナ…エレナ・ズィーリオ
フィガロ…セスト・ブルスカンティーニ
バルトロ…カルロ・バディオーリ
バジリオ…プリニオ・クラバッシ
ジョヴィネット/裁判官…フロリンド・アンドレオッリ
ズヴェリアート/公証人…アッティーリオ・ブルキエッラーロ
独奏…ヴィルトゥオージ・ディ・ローマ合奏団
演奏…コレギウム・ムジクム・イタリウム
指揮…レナート・ファザーノ
演出…サンドロ・セクイ
これはNHKで放送されたものをDVD化したものらしく、若干音声や画像にノイズが入りますが、それさえ気にならなければかなり面白いものです。
ロジーナに会うために身をやつしているとは言っても、正体は伯爵ですからただ若いだけではだめですが、アルマヴィーヴァ伯爵役のアルヴィーニオ・ミシアーノは端正なマスクと洗練された演技力で見る者を引き付けます。特に第1幕のカヴァティーナ《お知りになりたいでしょう》では、彼の甘い声を存分に堪能することができます。
ロジーナ役のエレナ・ズィーリオは、出てきた途端「カワイイ!」と思ってしまいます。勿論それだけではなく、第2幕のアリア《春が既に微笑み》やカヴァティーナ《神様もご存知でしょう》で、執拗なバルトロをやり込めるために策を巡らしながらも、恋に揺れ動く娘心を巧に描き出してくれます。
フィガロ役のセスト・ブルスカンティーニは、ロッシーニの《セビリャの理髪師》のフィガロ役も当たり役としていた歌手で、まろやかな声と卓越した演技力のバッソ・ブッフォとしてイタリア・オペラ界を席巻していました。第1幕のアリア《多くの地方を駆け巡りました》では、そんな彼の実力を遺憾無く発揮してくれています。
この公演を指揮したレナート・ファザーノはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の院長も務めた人物でした。まだ知られていない18世紀イタリア・バロック・オペラを世に広めるためにローマ室内歌劇団とヴィルトゥオージ・ディ・ローマ合奏団を結成し、自らも指揮者に就任して世界を公演して回りました。
このパイジェッロの《セビリャの理髪師》は1970年に日本を訪れた際に東京文化会館で上演されたもので、この他にチマローザの《宮廷楽士長》とロッシーニの《結婚手形》の2本立ても上演されました。
モーツァルトにも影響を与えたパイジェッロの名作を鑑賞できる貴重な映像で、ロッシーニの作品との見比べも非常に興味深いものです。DVD1本分の価格で2本分楽しめるお得な本ですので、興味のある方は是非どうぞ。
その中で今日一番有名なのはロッシーニのものですが、このDVD本にはその34年前に作曲されたイタリア人作曲家パイジェッロの《セビリャの理髪師》が収められています。このオペラは、当時女帝エカテリーナ2世の招きでロシア宮廷で活躍していたパイジェッロが女帝の御下命で1782年に作曲し、大成功をおさめた作品です。この曲はロシアだけでなくウィーンやナポリ、ミラノ、パリでも上演され、後にハイドンの後期交響曲やベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にも影響を与えたといわれています。
パイジェッロの《セビリャの理髪師》がDVD化されたのはこの映像が初めてなのだそうです。1970年、ローマ室内歌劇団での公演です。
アルマヴィーヴァ伯爵…アルヴィーニオ・ミシアーノ
ロジーナ…エレナ・ズィーリオ
フィガロ…セスト・ブルスカンティーニ
バルトロ…カルロ・バディオーリ
バジリオ…プリニオ・クラバッシ
ジョヴィネット/裁判官…フロリンド・アンドレオッリ
ズヴェリアート/公証人…アッティーリオ・ブルキエッラーロ
独奏…ヴィルトゥオージ・ディ・ローマ合奏団
演奏…コレギウム・ムジクム・イタリウム
指揮…レナート・ファザーノ
演出…サンドロ・セクイ
これはNHKで放送されたものをDVD化したものらしく、若干音声や画像にノイズが入りますが、それさえ気にならなければかなり面白いものです。
ロジーナに会うために身をやつしているとは言っても、正体は伯爵ですからただ若いだけではだめですが、アルマヴィーヴァ伯爵役のアルヴィーニオ・ミシアーノは端正なマスクと洗練された演技力で見る者を引き付けます。特に第1幕のカヴァティーナ《お知りになりたいでしょう》では、彼の甘い声を存分に堪能することができます。
ロジーナ役のエレナ・ズィーリオは、出てきた途端「カワイイ!」と思ってしまいます。勿論それだけではなく、第2幕のアリア《春が既に微笑み》やカヴァティーナ《神様もご存知でしょう》で、執拗なバルトロをやり込めるために策を巡らしながらも、恋に揺れ動く娘心を巧に描き出してくれます。
フィガロ役のセスト・ブルスカンティーニは、ロッシーニの《セビリャの理髪師》のフィガロ役も当たり役としていた歌手で、まろやかな声と卓越した演技力のバッソ・ブッフォとしてイタリア・オペラ界を席巻していました。第1幕のアリア《多くの地方を駆け巡りました》では、そんな彼の実力を遺憾無く発揮してくれています。
この公演を指揮したレナート・ファザーノはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の院長も務めた人物でした。まだ知られていない18世紀イタリア・バロック・オペラを世に広めるためにローマ室内歌劇団とヴィルトゥオージ・ディ・ローマ合奏団を結成し、自らも指揮者に就任して世界を公演して回りました。
このパイジェッロの《セビリャの理髪師》は1970年に日本を訪れた際に東京文化会館で上演されたもので、この他にチマローザの《宮廷楽士長》とロッシーニの《結婚手形》の2本立ても上演されました。
モーツァルトにも影響を与えたパイジェッロの名作を鑑賞できる貴重な映像で、ロッシーニの作品との見比べも非常に興味深いものです。DVD1本分の価格で2本分楽しめるお得な本ですので、興味のある方は是非どうぞ。