毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
「世界征服は可能か?」
岡田斗司夫著「世界征服は可能か?」(ちくまプリマー新書)を読んだ。男たるもの世界征服を夢見たことが一度くらいは誰にでもあるだろう。そんな男たちにとって、この書の題名は刺激的だ、どうしたって手に取ってしまう。自分がかつて夢想したことが実際に可能かどうかを検証してくれるなら読まざるえない。
「はじめ」でこの本の意図が明確に語られている。
『この本は、「現実に世界征服してみたらどうなるのか?」を具体的にシミュレーションしてみた本です。いったい「世界征服」って何なのか、本当に「世界征服」って可能なのか?自分で征服するつもりになって、一度まじめに考えた本です。』
こうした意図に従って、アニメやヒーロー物などの例を幾つか取り上げながら、世界を征服するための手順を示してくれるのだが、その前に読者がどんなタイプの支配者になるのかをタイプ別に示してあるのが面白い。
A.「正しい」価値観で全てを支配したいタイプ→魔王型、別名「人類絶滅型」
B.責任感が強く、働き者・仕切り屋タイプ→独裁者、別名「人類の管理人さん」タイプ
C.自分が大好きで、贅沢が大好きなタイプ→王様、別名「バカ殿様型」
D.人目に触れず、悪の魅力におぼれるタイプ→黒幕、別名「悪の裏方」タイプ
私は自分をCのタイプかなと思ったが、「天空の城ラピュタ」のムスカの上司「将軍」とか、「ドラゴンボール」のレッドリボン軍総帥とか、はては北朝鮮の独裁者・金正日がこのタイプであると言われてしまうと、自分がものすごく愚か者に思えて、しばし立ち直れなかった。
まあ、そんなおバカな話はさておいて、世界征服の具体的な手順へと読み進んでいくと、次のような難題をクリアーしていく必要があるらしい。
1.目的設定・・世界征服をしたあと何をするか」という理念を示す。
2.人材確保・・スタッフの中で有能な者から幹部候補生を選び、育てる。
3.資金の調達と設備投資・・表の組織を作り、まじめにきちっと稼ぐ。
4.作戦と武装・・慎重に合理的に、見栄えを考えて作戦を立て、毒ガスか生物兵器を用意する。
5.部下の管理と粛清・・組織内の人間には、人情味豊かで面倒見をよくする。
こうしたいくつもの難関を克服できれば、世界征服を成し遂げることは可能だという。さらっと書けばたやすく見えるかもしれないが、1つずつ見ていけば普通の人間にとっては不可能に近いものだ。余程のカリスマ性を持った人間でなければとても到達できるものではない。
しかし、本書の圧巻はここからである。ここまでの論の展開は少々冗漫であり、キレも感じられなかったが、ここからが作者の一番言いたかったことなのであろう、それまでとはうって変わって論が鋭くなる。
作者は上のような血の滲むような思いをして成し遂げた世界征服も、現代においてはさほど意味はないと言う。世界征服を達成し、自分や自分の一族・友人たちが、「支配者階級」を作ったとしても、『その人たちだけのために作られる「贅沢」など、今の自由社会・大衆社会の「金で買える贅沢」に比べれば取るに足りないもの』なので、現代においてかつてのイメージのような世界征服は無意味なのだと断言する。
ならば、現代の世界征服とはどういうことなのだろうか。作者の考えをまとめてみると、
「悪による世界征服」とは、「人々の幸福と平和=現状の価値観や秩序の基準」を破壊することであるから、現代社会の「経済と情報の自由化を否定する」こと、すなわち、「自由経済とネット社会を破壊する」ことである。つまりそれは、強者を肯定し弱者を軽蔑する自由主義経済を破壊し、個人から信念や価値観と考える力を奪い、社会風潮やネット内での流行=「祭り」のみで生きることを当たり前と思わせる「情報の自由化」を否定することになる。したがって、そうした現代の世界征服を目指す団体は、「地域通貨の見直し」「経済優先ではなく、フェアネストレード」とか、「ボランティアによる非営利団体活動」「ネットではなく、人と人との直接の交流」を広めようとする団体になるのである・・・。
この結論を痛烈な皮肉と受け取るか、現代社会への警鐘と受け取るかは人それぞれなのだろうが、私としては「悪」ではなく「善」によってこの世界があまねく支配されるような時代が来ることを作者が願っているように感じ取った。
「はじめ」でこの本の意図が明確に語られている。
『この本は、「現実に世界征服してみたらどうなるのか?」を具体的にシミュレーションしてみた本です。いったい「世界征服」って何なのか、本当に「世界征服」って可能なのか?自分で征服するつもりになって、一度まじめに考えた本です。』
こうした意図に従って、アニメやヒーロー物などの例を幾つか取り上げながら、世界を征服するための手順を示してくれるのだが、その前に読者がどんなタイプの支配者になるのかをタイプ別に示してあるのが面白い。
A.「正しい」価値観で全てを支配したいタイプ→魔王型、別名「人類絶滅型」
B.責任感が強く、働き者・仕切り屋タイプ→独裁者、別名「人類の管理人さん」タイプ
C.自分が大好きで、贅沢が大好きなタイプ→王様、別名「バカ殿様型」
D.人目に触れず、悪の魅力におぼれるタイプ→黒幕、別名「悪の裏方」タイプ
私は自分をCのタイプかなと思ったが、「天空の城ラピュタ」のムスカの上司「将軍」とか、「ドラゴンボール」のレッドリボン軍総帥とか、はては北朝鮮の独裁者・金正日がこのタイプであると言われてしまうと、自分がものすごく愚か者に思えて、しばし立ち直れなかった。
まあ、そんなおバカな話はさておいて、世界征服の具体的な手順へと読み進んでいくと、次のような難題をクリアーしていく必要があるらしい。
1.目的設定・・世界征服をしたあと何をするか」という理念を示す。
2.人材確保・・スタッフの中で有能な者から幹部候補生を選び、育てる。
3.資金の調達と設備投資・・表の組織を作り、まじめにきちっと稼ぐ。
4.作戦と武装・・慎重に合理的に、見栄えを考えて作戦を立て、毒ガスか生物兵器を用意する。
5.部下の管理と粛清・・組織内の人間には、人情味豊かで面倒見をよくする。
こうしたいくつもの難関を克服できれば、世界征服を成し遂げることは可能だという。さらっと書けばたやすく見えるかもしれないが、1つずつ見ていけば普通の人間にとっては不可能に近いものだ。余程のカリスマ性を持った人間でなければとても到達できるものではない。
しかし、本書の圧巻はここからである。ここまでの論の展開は少々冗漫であり、キレも感じられなかったが、ここからが作者の一番言いたかったことなのであろう、それまでとはうって変わって論が鋭くなる。
作者は上のような血の滲むような思いをして成し遂げた世界征服も、現代においてはさほど意味はないと言う。世界征服を達成し、自分や自分の一族・友人たちが、「支配者階級」を作ったとしても、『その人たちだけのために作られる「贅沢」など、今の自由社会・大衆社会の「金で買える贅沢」に比べれば取るに足りないもの』なので、現代においてかつてのイメージのような世界征服は無意味なのだと断言する。
ならば、現代の世界征服とはどういうことなのだろうか。作者の考えをまとめてみると、
「悪による世界征服」とは、「人々の幸福と平和=現状の価値観や秩序の基準」を破壊することであるから、現代社会の「経済と情報の自由化を否定する」こと、すなわち、「自由経済とネット社会を破壊する」ことである。つまりそれは、強者を肯定し弱者を軽蔑する自由主義経済を破壊し、個人から信念や価値観と考える力を奪い、社会風潮やネット内での流行=「祭り」のみで生きることを当たり前と思わせる「情報の自由化」を否定することになる。したがって、そうした現代の世界征服を目指す団体は、「地域通貨の見直し」「経済優先ではなく、フェアネストレード」とか、「ボランティアによる非営利団体活動」「ネットではなく、人と人との直接の交流」を広めようとする団体になるのである・・・。
この結論を痛烈な皮肉と受け取るか、現代社会への警鐘と受け取るかは人それぞれなのだろうが、私としては「悪」ではなく「善」によってこの世界があまねく支配されるような時代が来ることを作者が願っているように感じ取った。
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