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「今は昔のこんなこと」

 佐藤愛子著「今は昔のこんなこと」(文春新書)を読んだ。「愛子流・爆笑絶滅風俗事典」と帯に書かれているとおりに、現代ではもう見たり聞いたりすることがほとんどなくなり、ほぼ死語になってしまった物や言葉を集め、佐藤愛子が昔の世相を振り返りながら、郷愁とも慨嘆とも付かない短い解説を加えていくという内容になっていて、非常に面白かった。P.152 に「言葉の変遷の中には時代が進むにつれて、実体はあるが言葉が変化したもの、言葉はあるが実体がなくなったもの、実体も言葉も消失したもののおよそ三つがある」と鋭い洞察が述べられている。その考えに従って本書で取り上げられたのは36の言葉、それを聞いただけで全て分かるのは、もう私たちの世代(1950年代生まれ)が限界かもしれない。私の10歳年下の弟と話していると、「?」と思うことがお互いによくあるから、時代の流れは如何ともしがたい。かく言う私でも、36の中にはその意味合いが随分いい加減にしか分からない言葉もいくつかあったので、以下に36の言葉を全て載せてみる。

  腰巻
  蚊帳
  アッパッパ
  押売り
  五右ヱ門風呂
  居候
  火鉢
  あーらいやだ、オホホホホ
  ステテコ
  乳当
  褌
  釣瓶井戸
  鍛冶屋
  つけ文
  後家
  おぼこ
  蠅いらず
  円タク
  出合茶屋
  縁側
  カンカン帽
  モダンガール
  人絹
  腎虚
  花柳病
  煙管
  親孝行
  オドシ教育
  どら息子
  巡査
  弊衣破帽
  夜這い
  盥
  良妻賢母
  焚火
  恥と恥かしがり

 物知りの私の娘なら上の漢字は全部読めるかもしれないが、息子なら多分読めないものがいくつかあることだろう。だが、それが指し示す内容になると二人とも知らない言葉が大半ではないだろうか。まあ、知らなくても生きていける言葉も多いけれど、やっぱり知っておくべき言葉もいくつかある。でも、「花柳病」「腎虚」「夜這い」なんてのは20前後の若者は知らないほうがいいか・・。
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