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52歳

 5月26日の記事にした、竹内まりやのアルバム「Denim」はそのタイトルの通りに聞けば聞くほど味わいが深くなる。その中でも私の心を捉えて離さないのが「人生の扉」だ。今までの人生をしみじみ振り返るのではなく、残された時間を大切に生きて行こうという思いに満ちた名曲だと思う。竹内まりやの歌声ってこんなに艶っぽかったっけ・・とこの曲を聴くたびに驚く。YouTube で見つけた映像の中のまりやは、確かに以前よりも老けた感じがするのは否めないが、とても52歳には見えない。




 52歳と聞くと、私は思わず深い溜息をついてしまう。私の母が亡くなったのが52歳だからだ。私自身がその年齢に近付いてきたから余計に感慨を抱いてしまうのかもしれないが、52歳にして匂い立つような女性の色香を漂わせている竹内まりやに思わず陶然としてしまう。素敵だなあ・・。
 
 母と同じ52歳で亡くなった歌手がいる。昭和の歌姫と賞賛される稀代の名歌手、美空ひばりだ。彼女は私の母よりも生まれが1年遅いが、ほぼ同じ時間を行きぬいた女性だけに、歌手としてだけでなく母の親しい同級生のような感覚で見てしまう。だが、生前の彼女を私は正直言って好きではなかった。歌が天才的にうまいことを鼻にかけたいやな歌手としか私の目には映っていなかった。それは彼女の実像を知らず、マスコミが流布する一方的な情報に踊らされていたのに過ぎないのだろうが、あまりいいイメージを抱いていなかった。ところが、母が亡くなった頃に発表された彼女の遺作ともいうべき「川の流れのように」を初めて聴いた時に、彼女に対する思いは一変した。この曲をこれほどまでに朗々と歌いつくすことのできる「美空ひばり」の存在の大きさに圧倒されてしまった。




 この曲に下らぬ解説は不要だ。ただじっくりと耳を傾けていれば全てが心に響いてくる。それが美空ひばりのすごさなのだ。
 作詞した秋元康は、いかにもギョーカイ人という気がしてあまり好きな人物ではないが、美空ひばりにこの歌を歌わせた功績だけで、後世に名が残るべきだと思う。小椋佳の「愛燦燦」もなかなかの名曲ではあるが、曲ののびやかさ、広がりの深さで「川の流れのように」が私の中では美空ひばりのベスト曲である。
 私は、この曲をカラオケで何度か歌ったことがあるが、歌詞とともにモニターに流されるビデオの中の美空ひばりの姿を見ると、自分の母親の生前の姿と重なってしまい、胸が詰まってどうしようもなかった。今 YouTube の映像久しぶりに美空ひばりの姿を見たら、やっぱり・・・。
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