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襲ってくる敵

 私は決して好戦的な男ではない。かと言って温厚な君子でもない。私を表現するのに一番ふさわしい言葉は「臆病者」かなと思わないでもないが、それでも、いざという時、立ち上がらなければならない時には、たとえ重い腰であっても気合を込めて持ち上げて、敵と相見えんだけの気概は持っているつもりだ、たぶん・・。
 ここ最近、私の周囲に現れたいくつかの敵のことを書いてきた。ゴミを勝手に出していく輩、早朝から草刈をする管理人など、腹が立つことを平気でやってくれる。それに対して毅然とした態度を見せられない私も情けない男だが、昨日新たに現れた敵には、私にしては珍しく断固たる姿勢で臨んでみた。
 昼過ぎに一旦自宅に戻ったら、妻が
「バスの車庫の屋根の裏側に、ハチの巣が3つあるの知ってる?」
とたずねてきた。私は、
「えっ?知らない・・。ハチはいるの?」
「うん、いるみたい。危ないから取ったほうがいいんじゃない?」
「そうだな」
うだるような暑さに少々辟易していた私は、早くクーラーのきいた教室に戻って涼みたかったが、車庫にハチの巣が見つかってしまっては、そんな呑気なことも言っていられない。生徒が刺されたりしたら大変だ。すぐに車庫まで見に行った。


確かに3つあった。2つは空っぽのようだが、1つにはハチが3匹ほどたかっている。昨年もハチを退治した記事を載せたが、あのときのハチはスズメバチで、恐ろしいほど大きかった。ブンブン羽音を上げてこちらを威嚇してきて、思わず背筋が寒くなったほどだ。殺虫剤を大量に噴霧して、動けなくなったハチが巣から落ちてきたのを殺したが、今回のハチは大きくない、2cmくらいで細身だ。スズメバチではなさそうなのでちょっと安心した。これなら殺虫剤など使わなくても楽勝だと思って、棒で1つ1つ叩き落すことにした。
 空の巣2つは簡単に落とせた。しかし、最後の1つにはハチがいる。落ち着いて叩いたつもりだったのに、少々びびったのか、手先が狂い、空振りしてしまった。するとハチが巣を離れて一斉にあたりを飛び回る。「ギャー!」とさすがに怖くなって叫んでしまったが、こんなことでひるんでいてはいけない。教室からハエ叩きを持ってきて、ハチが襲ってきたら、これで戦うことにした。
 準備を整え、深呼吸を一つしてから、改めて棒を巣めがけて振るってみた。


今度はうまく落とすことができた。だが、またハチが盛んに飛び回り、その中の一匹が私目がけて飛んで来た。びっくりして体をひねってよけたら、車庫の柱に止まった。「チャンス!」素早く棒をハエ叩きに持ち替えて、ビシッと一発叩いてやったら、簡単にしとめることができた。


 ハチに何の恨みもないが、巣を作ったところが悪かった。これも運命と思って成仏してくれ。などと呟きながら、ハチの巣を調べてみたら、中にウジが2匹ほどいた。巣を壊してウジを出そうとしたら、力を入れすぎたのか、簡単につぶれてしまった。戦利品として塾生に見せてやろうと思っていたのに失敗だった。残念だが、仕方がない。
 それにしても、暑さを忘れて久しぶりのハンティングに興じてしまった私には、やっぱり野生の血が流れているんだろうなあ・・・。
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