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おばかキャラ

 竜虎の母さんのブログに、クイズ番組が花盛りだという記事があった。私もクイズ番組の多さには気づいていたが、日曜日にしか、ゆっくりTVを見る時間がないので、番組の内容まではよく知らない。おバカタレントと言われる人たちも何度か見たことがあるが、あまりのバカさ加減に唖然とするばかりで、とても笑ったりはできなかった。どうしてあんなに己の無知さ加減を公然とさせて恥じるところがないのか、私には理解できない(それを逆手にとって「羞恥心」というユニットを組んでいるのだから、何をかいわん・・)。もちろんTV局からの需要があるからなのだろうが、なんだか自分の身を切り売りしているようで、すぐに飽きられてしまうだろうな、と彼らを見ていて切なくなりさえする。それでも、TV局が受けると見なす間はお呼びがかかるだろうから、今しばらくは彼らの姿をTVで見かけることになるのだろうか・・。
  では何故彼らが受けるのか?私はそれについて悲しい考えを持っている。このブログで常日頃から、現代の中高生の学力低下を嘆いている私だが、中学3年生でそれなりの受験勉強をして高校に合格してしまうと、その瞬間から勉強など自分のすることではないとばかりに、一切を放棄してただひたすら遊び呆けることに全精力を注ぎ込む高校生の何と多いことか。彼らにとっては、高校入学がゴールであって、それから先の人生などまるで眼中にない。
  先日も午前中コンビニに行って、愕然とした。ちょうど1年前まで塾にいて、本来なら高校2年生になったばかりの女子生徒が平日のそんな時間にコンビニの制服を着てレジに立っていたからだ。
「何やってるの?」
「バイト」
「学校は?」
「やめた・・」
「なに?」
  高校入学後も道端ですれ違うと気軽に私に手を振ってくれた、いたって気のいい娘ではある。だが、勉強は苦手で、公立高校でも一番偏差値の低い専門学科に何とか合格できた程度だ。入学後はそれなりに頑張っているとばかり思っていただけに、突然そんなことを言われても、びっくりしてしまって何も言えなかった。なんとか気を取り直して、
「進級できなかったの?」
と聞いてみたが、笑って答えてくれなかった。それ以上バイト中の子を問い詰めてもよくないと思って、コンビニを後にしたが、いったいこれからどうやって生きていくつもりなのだろうと、彼女の行く末を思うと暗澹たる思いに駆られた・・。
  その話を中学のときに塾で一緒に学んだ高校生にしたところ、 「うちの学校でもやめてった人多いよ・・」 とあっさりと答えた。その子が通っているのも普通科としては一番偏差値の低い公立高校で、ここ何年も定員割れをして、受験すれば誰でも入学できるくらいの学校である。そのため、何の意欲もなく、ただの惰性で入学した者たちが多く、1年間で1クラス分くらいの者たちがやめて行ったそうだ。何でそんなに簡単にドロップアウトしちゃうのか?またまた気分がずんと重くなったが、考えてみれば、そうした中退した者たちにとっては、おばかキャラといわれる芸能人たちは希望の星なのかもしれない。
『オレたちは、学校の中ではバカだと思われてきたけど、TVにはもっとバカな人たちが出ている。あんなバカでもやっていけるんだから、オレたちも何とかやれるかもしれない』
などと思うのなら、まだいい。しかし、
『ワタシよりもバカな奴らがあんなにTVに出てるんだから、安心してもっとバカやろうよ』 などと思ったりしたら、もう最悪だが、そうした若者たちにとっては、己の未熟さをカムフラージュしてくれる存在としておばかタレントたちは大切な存在なのかもしれない。
 もちろん、勉強ができればそれでいいと言うわけではないが、やっぱり生きていくうえで必要な基礎知識だけは身に付けなければならない。余りに物を知らなさ過ぎる芸能人が若い世代に与える影響は決して芳しいものではないように思う。おばかキャラを笑っておしまいにするのではなく、彼らを反面教師にするような側面も必要ではないか、母さんの記事を読んでそう思った。  

 (付録)そうしたクイズ番組で問われそうな漢字の読みについての豆知識をひとつ。 よく似た3つの漢字、「己」「已」「巳」の読み方を覚える方法。

 「きこのこえおのれつちのとしたにつき、いすでになかばに、しみはみなつく」と暗記すれば、 『「」「」の声、「おのれ」「つちのと」下に付き、「」「すでに」半ばに、「」「」は皆付く』 と、一つ一つの漢字の読みが完全に覚えられると、私が中学校のときの漢文の教科書に書いてあった。

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