goo

さあ新学期

   塾が休みと言っても、新学期の準備があってそれほどゆっくりもできなかった。特に今年は「新学習指導要領」が3年後に導入されるまでの移行期間の初年度であるため、私が作った数学の問題集にも改訂を加えなければならなくて、例年よりもやるべき仕事が多かった。
 「新学習指導要領」とは、「ゆとり教育」からの転換を図るものであり、簡単に言えば「学習内容が多くなる」ということだ。「ゆとり教育」という言葉を聞くだけで私は全身に虫唾が走ったものだ。それは塾という勉強オンリーの機関に携わる者にとっては己の職務を否定されるようなものであり、謂わば天敵のような言葉であったが、「ゆとり教育」の実態が、小学校・中学校の薄っぺらな教科書を見たことがある人なら誰もが驚くような学習内容の少なさを主眼にしたものである以上、いったい子供たちをどう育てようとしているのか、私には皆目分からなかった。確かに詰め込み教育、過度の受験競争、管理教育などなど過去の教育体制には問題が多々あった。だが、子供に物を教えるというのに、「もうこれくらいでいいだろう」などと大人が勝手に斟酌を加えて、学ぶ意欲を削いできたのが「ゆとり教育」であると私は思っている。塾という、謂わば教育界の日陰者、そんなものなどなければいいのに、と思われたりする機関に携わってきた私ではあるが、公教育の荒廃を微力ながらも下支えしてきたという自負は少なからずある。「鉄は熱いうちに打て」などという言葉を引き合いに出すまでもなく、子供たちは一生懸命学ばねばならない、というのが信条である私にしてみれば、「ゆとり教育」からの脱却というのは至極当然の結果であるが、「ゆとり教育」で育った「ゆとり世代」と呼ばれる人たちこそ、いい迷惑ではなかったか、そんな気がしてならない。(「ゆとり世代」というのはかなり嘲笑の対象になっているようにも思うのだが、教えられるべきことをきちんと教えられずに来てしまったのだから、彼らの責任ばかりではないように思わざるを得ない・・)
 
 などと思わず熱が入ってしまったが、今回の新指導要領で学習内容が多くなるのを、数学(算数)でみてみよう。文系科目は内容が濃くなるといっても、学習単元が目に見えて増えるような科目ではないので、とりあえず理系科目に注目した方がよくわかるだろう。小学校の算数では、前回の改訂の時に話題になった、「台形の面積」の求め方は、復活し5年生で学ぶことになる。また公約数・公倍数を5年生で学ぶようになるため、異分母分数の加法・減法も5年生で学ぶようになる。今までは6年生で一度に分数の四則を学んでいたのと比べれば、元に戻って指導はしやすくなるだろう。もちろん私立受験を目指して学習している生徒たちは、学校の教科書などとは全く違う次元で勉強しているので、この改訂などまるで関係ないが、私立中学受験生と公立中学に進学する生徒の学力差は、少しは改善されるかもしれない。(理科の学習内容の増加はとてもここでは書ききれないほどで、理系科目の重要性を文科省が再認識したのかな、と思うほどだ)
 中学数学では、1年生で関数の意味、球の表面積と体積などを学習するようになるが、これは私の作った問題集では、削除せずに取り入れてあったので、何も追加する必要はなかった。同じように、3年生で2次方程式の解の公式や、相似図形の面積比・体積比なども復活するが、これらも私の問題集には取り入れてあったため、追加する必要はなかった。このように私が自作した問題集では、追加する内容はさほど多くないが、それでも今まで教えてこなかった内容がいくつかあるので、問題集に改訂を加えなければならなかった。(久しぶりにオアシス・ワープロソフトで問題を作成したのだが、忘れている操作方法も多かったので、かなり苦労した)

 この3日の休み中、毎日少しずつ作業はしてきたので、新学期の準備は整った。新入塾生の募集が、思うようにいかなかったのは残念至極であるが、私の塾に集まってくれた生徒たちが、各自の願いを成就できるよう、私ができることはすべて協力する覚悟でいる。しばしの休養で、体力も戻ったように思うので、とにかく頑張っていこうと思っている。  

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )