goo

「鴨川ホルモー」

 「レッドクリフ」は見た。今月見ようと思っていた映画はあと2本、「クローズZEROⅡ」と「鴨川ホルモー」。だが、少しまずいことにどちらの映画にも山田孝之が主演している。1作目の「クローズZERO」では、小栗旬の最大のライバルとして、鬼の形相で殴り合っていた姿が印象に強く残っていて、「鴨川ホルモー」の主役・ダサい京大生安倍明との落差が余りも大きく、果たしてどちらを先に見に行くべきかしばらく悩んでいた。だが、妻の「ホルモーの方がきっと早く上映終了になるだろうから、ホルモーを先に見るべきだよ」という一言で、スッキリした。確かに「クローズZEROⅡ」は大好評らしいからしばらく上演しているであろう。一方、「鴨川ホルモー」はいくら「はんにゃ」がTVCMをやっていたと言っても、原作を知らない人にとっては、正体不明の怪しい映画だろうから、妻の言う通りきっと短命に終わってしまうだろう。「先にホルモーだ!」、そう決心した。
 この映画の予告編は、「ヤッターマン」を見に行った時に見た。その時、余りに京大の時計台が綺麗に写っていたので、それだけでも一見の価値があると思った。実際私も去年の夏に京大に行って、構内が私の通っていた頃とはまるで違って、どこもかしこも綺麗になっているのに驚いた。TVドラマ「ガリレオ」では京大吉田キャンパスがロケ地となっていたと聞いたことがあるが、独立法人となった今、大学全体が本当に綺麗になっているから、大きなスクリーンでその雄姿を眺めるだけでも気持ちがいいだろう、と必ず見に行こうと決めていた。それになんと言っても私は万城目学の原作も読んで、その感想をこのブログに記したから、あの素敵な告白のシーンがどう映画化されたのかも知りたいと思った。だが、TVCMを見る限りでは、ホルモーとオニがやたら強調されていたので、私の期待する出来にはなっていないかな、そんな心配も幾ばくかは持っていた。そんな期待と不安が入り混じりながら、映画館に足を運んだが・・。


 山田孝之はよかった。時流から半歩か一歩遅れている典型的な冴えない京大生を上手く演じていた。実際に学生の中に混じっても何の違和感なく受け入れられるだろうと思ったほどだ。楠木ふみ役の栗山千明がきれいなのには驚いた。だが、メガネをかけて凡ちゃんと呼ばれていた時の方が、メガネを外しておしゃれをした姿の時よりもきれいに見えたのは何となくおかしかった。
 この二人を中心にして、物語はテンポよく進んでいった。「原作を上手く消化した脚本だな」と感心したし、京大青龍会の荒唐無稽さもよく表現されていた。「これは案外面白い映画かも・・」と楽しみながら見ていたが、驚いたことに、思いもかけぬ場面で、余りにも簡単にあの告白の場面になり、通り一遍のよくあるシーンになってしまったので、一気に興味がしぼんでしまった。「えっ、「鴨川ホルモー」の一番の場面はあの告白シーンだろう?!」とがっかりしていたら、後はもう安っぽいSF映画のようになってしまって、急に見る気が失せてしまった・・。「ちょうどいいや・・」などと捨て台詞を吐きながら、落胆のあまりトイレに立ってしまったが、戻ってきても相変わらず、CGを使ったオニの戦いの場面が続いていて、「やはりこの映画はオニの戦いがメインなのかな」と私の心配が現実のものとなってしまい、全身でがっかりしてしまった・・。
 それでも、随所に現れた京大付近の映像は、懐かしさもあり、私のような者には一見の価値ありだった。特に「吉田寮」(映画では「百万遍寮」とされていた)の内部が写されていたのには驚いた。私が学生だった当時は、「寮には近づかない方が無難」と暗黙の了解事項があったため、足を踏み入れたことはなかったが、30年前とほとんど雰囲気の変わっていないだろう寮の内部が見られたのには感動すら覚えた。よく撮影できたもんだと、時代の流れを感じたが、私が間違っているかもしれない。
 吉田寮はまだ安全だったのかな、熊野寮がやばかったのかな・・。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )