☆ 森鷗外の「鶏」(新潮文庫「阿部一族・舞姫」所収)を読んだ。小倉に転任した陸軍少佐の着任から数か月間の生活を綴っている。(モデルは鷗外本人のようだ)
☆ 都会から来た将校にとって九州・小倉は異文化の地であったようだ。明治期とはいえまだ身分制度も色濃く残っている。
☆ 彼は独身で、日々の生活のために下女と馬の世話役を雇う。軍人それも中央でそこそこ高い地位にあったためか彼の口調は結構横柄である。それに対して、彼の世話をする人々は主に農村出身で身なりから慮ると貧しそうだ。体臭からもそれが感じられる。彼らはへりくだってはいるが、なかなか狡猾でもある。
☆ 下女のばあさんの観察の結果として、彼のことを「ケチ」で「バカ」と言わせているところは面白い。
☆ ところで表題の「鶏」。かつての部下が近くに住んでいるということで挨拶に来た。そのときの手土産が立派な雄鶏だった。彼はそれを食う気がなかったから飼うことにした。つがいをつくろうとしたのか、牝鶏を1羽買ってきて一緒に育てることにした。すると馬の世話係が更に牝鶏を2羽連れてきて、一緒に育てることになった。それにはある魂胆があった。
☆ モーパッサンの作品のような自嘲があり、魯迅の作品のような揶揄も感じられる。
☆ 情景描写は少々煩雑な気がした。文体は短文で歯切れがよく読みやすかった。ところどころの外来語(スペル表記)はどういう意図なのだろうか。最近でも学者がよくやるインテリぶりか。
☆ 都会から来た将校にとって九州・小倉は異文化の地であったようだ。明治期とはいえまだ身分制度も色濃く残っている。
☆ 彼は独身で、日々の生活のために下女と馬の世話役を雇う。軍人それも中央でそこそこ高い地位にあったためか彼の口調は結構横柄である。それに対して、彼の世話をする人々は主に農村出身で身なりから慮ると貧しそうだ。体臭からもそれが感じられる。彼らはへりくだってはいるが、なかなか狡猾でもある。
☆ 下女のばあさんの観察の結果として、彼のことを「ケチ」で「バカ」と言わせているところは面白い。
☆ ところで表題の「鶏」。かつての部下が近くに住んでいるということで挨拶に来た。そのときの手土産が立派な雄鶏だった。彼はそれを食う気がなかったから飼うことにした。つがいをつくろうとしたのか、牝鶏を1羽買ってきて一緒に育てることにした。すると馬の世話係が更に牝鶏を2羽連れてきて、一緒に育てることになった。それにはある魂胆があった。
☆ モーパッサンの作品のような自嘲があり、魯迅の作品のような揶揄も感じられる。
☆ 情景描写は少々煩雑な気がした。文体は短文で歯切れがよく読みやすかった。ところどころの外来語(スペル表記)はどういう意図なのだろうか。最近でも学者がよくやるインテリぶりか。