じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

浅田次郎「あじさい心中」

2022-09-14 15:58:20 | Weblog

★ 人生は変化に富んでいる。不治の病に冒されていると知ることもあれば、事故や事件に遭遇することもある。サラリーマンとして生き、そこそこの地位と収入を得、残る10数年勤め上げればそれなりの老後が送れると思っていた矢先、リストラに遭うこともある。

★ 浅田次郎さんの「薔薇盗人」(新潮文庫)から「あじさい心中」を読んだ。浅田さんの作品は面白い。物語に入り込める。

★ 主人公は出版社に勤めるカメラマン。管理職の地位を得て、結構な高給も得ていた。それを支えに、妻と大学生を筆頭に3人の子どもたちを養ってきた。その男が突然リストラされた。

★ 想定していた人生計画が一気に崩壊。とはいえ、どうすることもできず、とりあえずは貯えで何とかしのいでいた。

★ 「あじさい心中」はリストラされた男が何気なく訪れた寂れた温泉旅館で、ふと訪れたストリップ小屋の年増の踊子と意気投合して心中を企てるというもの。

★ 前半は男が語り、踊り子と出会ってからは、彼女が身の上を語り、男は聞き役に回る。

★ 美しいあじさいに囲まれた行きづりの男と女のやりとりが美しい。出会いがあれば別れもある。それをあっさり描いていることが余韻を残す。

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