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高谷史郎「光の茶室」@佐川美術館・樂吉左衞門館と、佐川美術館のおすすめ。

2013年03月22日 02時43分53秒 | アート・文化

遅い記事アップとなりますが、先月、びわ湖のほとりにある佐川美術館に行ってきました。
目的は、高谷史郎さんと陶芸家・樂吉左衛門さんのコラボレーション展で、公開されていた樂さん創案の茶室に、高谷さんが光の演出を加えた「光の茶室」の見学でした。

佐川美術館樂吉左衞門館開館5周年記念
吉左衞門X 暗闇の音 静寂の光
高谷史郎・音/ 映像 + 樂吉左衞門・茶碗

「光の茶室」関連ページ
Shiro TAKATANI :: News

高谷流ワールドは、和の確固たるフィールドにおいても、実に相性が良く、かたい和のイメージを親しみやすくしてくれるような、もしくは、さらなる新しい意味を表現しているような、ワクワク感がありました。
この茶室、もともとの構造がすごく自然との一体感を意識しているようで、そこが茶道の精神を表現していると感じられ、冬の寒い空気と相まって厳かな気持ちにしてくれるのと同時に高谷さんの演出が外の世界との接点を意識させる、ものすごく奥の深い空間=茶室でした。

「光の茶室」の公開は終わっていますが、その他の元々の展示であるコラボレーション作品は4月7日まで引き続き展示されています。
実は、僕はこちらを観るのを忘れてしまい買った目録で家に帰ってから気付くという失態をしてしまい後悔しています(ちょっと館内わかりにくかった)。
目録を観る限り、こちらも高谷流炸裂のようで興味深いです。いつもの作風で樂さんの作品に迫っており、ただ、僕としては、だからこそある程度の想像ができるのが救いでしょうか。
お時間のある高谷ファンな方は、ぜひ足を運んでいただきたいものです。


さて、佐川美術館には、
樂吉左衛門館のほかに、平山郁夫館佐藤忠良館があり、どれも同じ入館料を払えば全部観れます。
僕もせっかくなので、ほかのお二人の作品を鑑賞することにしました。

まず、佐藤忠良(彫刻)さん。
今まで、彫刻といえば静寂な作品しか観たことがなかったのですが、この佐藤さんの作品はどれも躍動感を感じました。
今にも作品が動き出し僕に語りかけてきそうな感覚が作品群を観ている間、常に起こりました。同時にメッセージ性も強い。

そして、平山郁夫(日本画)さん。
今や平山さんの名前はかなり有名ですが、僕自身はあまり興味を持っていませんでした。
有名なシルクロードの作品の正確なコンセプトなどを知る機会がなかったのもあるかと思います。
しかし、順番に展示されている作品を観ていくにつれ、次第に興味が湧いてきて、後半、人間の絵を描いている作品が少しずつ増えてきて伝えようとしていることが何となく心に来ていて、
展示されている最後の部屋に入った瞬間、最後に飾られている作品が僕の目に飛び込んできました。僕は誘われるようにその絵画の前に一直線に歩んでいき、その前でしばらく直立不動。
作品の隣に掲げられているキャプションを読もうとするのですが、気がつけば目が潤んでおりうまく読めない。

平和の祈り~サラエボ戦跡~

自然の風景や寺社仏閣などの作品が多い印象がある平山郁夫さんが、このような社会的な作品を残されていたこと自体に感動し、
また戦闘による廃墟を背景にしながらも、
なおも立ち上がっていこうとする子供たちの表情に力強い希望と、
平山さん自身の平和への強い祈りの意思を感じられずにはいられませんでした。
もう、これは足を運んで、ぜひとも実物を観ていただきたい!
いわゆる戦場写真よりも伝わってくるものがあり、絵画という表現手段の強さも感じることができると思います。


それに、佐川美術館さん、展示の仕方、巧い!
僕にとっては、平山さんのこの作品だけでも、入館料1,000円の価値がありました。
最初、入館料が高い、などと思ってしまったのですが、この1,000円だけで、この素晴らしい3人のアーティストの作品を存分に鑑賞できるのですから、これは安い!
汚い言い方になってしまいますが、バブル期を含めた佐川急便さんの利潤をこういう形で一般に還元しているのは、社会的にも良いことだと思います。
それに、実は今回「光の茶室」の見学の際、見学の受付時刻がまわってから佐川美術館に到着してしまったのですが、ある意味、遅刻状態にも関わらず、こちらの無理を聞き入れてくれて快く見学を受け入れてくださいました。
スタッフの皆様にはご迷惑お掛けしたものと思いますが、本当にありがたかったです。
こんなところではございますが、お礼を申し上げます。

ということで、佐川美術館、かなりおすすめです!

TB。--------
『平和の祈り-サラエボ戦跡』 : 静寂の編集 ~モノローグとダイアローグ~ 」


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