金沢の観光スポットレポート その534(No.818)
◇金沢の夏-3 金沢の新盆とキリコ
□お盆の由来
お盆の正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、サンス
クリット語の「ウランバーナ(逆さ吊りにされる苦しみという意味)」
に由来します。子孫から長い間供養をうけていない先祖は逆さ吊り
の苦しみを受けているため、そうした先祖の霊を慰めるため飲食を
与えたのが発祥とされています。
■写真は泉野墓地
□新盆と旧盆
お盆にあたる日が8月半ばであったり7月半ばであったり、バラバラ
なのはなぜでしょうか?それは旧暦と新暦の違いに由来します。明
治6年まで、日本では旧暦が使われており、旧暦の上でのお盆は7
月15日でした。新暦に切り替わると、旧暦の7月15日を新暦に
そのまま当てはめ、この日を「新盆」とするようになりました。
しかし、7月15日をお盆の日にすることにより季節感を損なう等
の事情から、7月15日からちょうど1月遅らせることで本来のお
盆に近い日にち、または夏休みを兼ねる意味から、8月15日をお
盆の日とすることが一般的になりました。旧暦に倣おうということ
で、この日を「旧盆」と呼んでいます。
■写真は大乗寺総門
□金沢市内中心部は新盆が多い
新盆・旧盆のどちらに墓参りするかについては金沢市内でもわかれ
ているようで、犀川、浅野川、JR北陸本線、中環状道路に囲まれた
区域と、犀川以南、浅野川以北の旧市内地あたりでは新盆が多く、
それより外側の新市内地域では旧盆にお参りに行く傾向が強いよう
です。
□金沢のお盆の風習「キリコ」
金沢ではお盆にお墓参りをするときに 「キリコ」という箱のよう
なものを持って行ってお墓の前に吊します。 中にロウソクを立て
られるようになっています。この「キリコ」を吊すという習慣は金
沢周辺だけのようです。
■写真は大乗寺境内のお墓
□キリコの由来
キリコはいつから始まったか定かではありませんが、いろいろ話を聞
き推察 してみると、藩政時代に始まっていたようです。
なぜ墓前にキリコを供えるかということについても明確な説はありま
せんが、もっとも有力な説は、お盆で墓にともした先祖の迎え火を保
護する役目から始まったという説です。
キリコの表面には持参した人の名前を記入する部分があり、誰が墓参
りに来たのかが分かるようになっている。本来は箱キリコですが、最
近はろうそくのつかない板キリコが多くなっている。
(撮影:2016.7.16-17)
■写真は進上されたキリコ
(つづく)