金沢の観光スポットレポート その632(No.966)
◇兼六園 夕顔亭 屋根の葺き替完了
昨年秋より工事していた、夕顔亭屋根葺きが完成した。茅葺きと板葺があり見事な工事である。
■写真は夕顔亭(中島より撮影)
□夕顔亭(ゆうがおてい)
瓢池の東岸にある茶室。時雨亭、内橋亭、舟之御亭とならぶ蓮池庭四亭の一つ。11代藩主治脩が、宝暦の大火(1759)で焼失した蓮池庭を復興すべく、翠滝とともに安永3年(1774)に建てたもので、その地に往時のまま残る園内唯一の建物である。三畳台目、下座床、相伴席をもつ形式で、京都・藪内家の茶室「燕庵」とほぼ同じであることから、その写しともいわれている。蹲口がなく、障子2枚からなる貴人口がある。小間でありながら翠滝の景観を楽しむ開放的な茶室だ。
夕顔亭の名は、床の袖壁に夕顔(瓢箪)の透かし彫りがあるからで、これは後世の呼び名である。当時は「中嶋の茶屋」「瀧見の御亭」とも称されていた。もとは池の中に浮かぶ島に建てられていたが、明治に入って一部埋め立てられ、現在は陸続きとなっている。
■写真は藁葺き
■写真は板葺き
□伯牙断琴の手水鉢(はくがだんきんのちょうずばち)
伯牙断琴の手水鉢がつくられた経緯には面白いエピソードが残っている。ある日、五代藩主、前田綱紀(つなのり)が、後藤程乗を呼び、「そなたは金工の名人であるが、石は彫れんだろ?」と言われ、「金が彫れて石が彫れないわけがない」と、彫って見せたのが、伯牙断琴の手水鉢だと言われている。
■写真は伯牙断琴の手水鉢
■写真は海石塔と翠滝
■写真は瓢池と夕顔亭
撮影:2017.3.8
(完)