昨日に続き、まとめて岩城宏之『フィルハーモニーの風景』を取り上げよう。同じ
岩波新書だけに編集に「一貫性」がある。5章から成り立っているが、ウィーン・
フィル、ベルリン・フィル、ステージ・マネージャーなどについて随筆されてい
る。
ウィーン・フィルとカール・ベーム、ウィーン・フィルのオーディションなど裏側の
実話が興味深い。
ベルリン・フィルの裏方バルトローク氏について
すべてが終わり、裏口から帰る。楽屋を出るところから、
「はい、右に曲がります」
「階段が二段あります。降りますからご注意!」
「もう一段右に曲がります。すぐにエレベーターです。止まりましょう」
「肩を冷やさないようにコートを羽織って下さい。明日も音楽会です」
毎晩同じことをやる。指揮し終わった人間がどんなに虚脱状態にあるかを、こ
れほど認識している裏方を他に知らない。
西暦と元号について
NHK交響楽団と世界一周の演奏旅行をしたのは、1960年だった。この年が昭
和35年であるのは知っている。しかしそれ以後は西暦だけで暮らしてきた。・・・
ぼくの芸大入試は昭和26年、日比谷公会堂でN響を指揮してデビューしたのは昭
和31年である。昭和35年以前のぼくの歴史には、西暦が存在しないのだ。

岩波新書だけに編集に「一貫性」がある。5章から成り立っているが、ウィーン・
フィル、ベルリン・フィル、ステージ・マネージャーなどについて随筆されてい
る。
ウィーン・フィルとカール・ベーム、ウィーン・フィルのオーディションなど裏側の
実話が興味深い。
ベルリン・フィルの裏方バルトローク氏について
すべてが終わり、裏口から帰る。楽屋を出るところから、
「はい、右に曲がります」
「階段が二段あります。降りますからご注意!」
「もう一段右に曲がります。すぐにエレベーターです。止まりましょう」
「肩を冷やさないようにコートを羽織って下さい。明日も音楽会です」
毎晩同じことをやる。指揮し終わった人間がどんなに虚脱状態にあるかを、こ
れほど認識している裏方を他に知らない。
西暦と元号について
NHK交響楽団と世界一周の演奏旅行をしたのは、1960年だった。この年が昭
和35年であるのは知っている。しかしそれ以後は西暦だけで暮らしてきた。・・・
ぼくの芸大入試は昭和26年、日比谷公会堂でN響を指揮してデビューしたのは昭
和31年である。昭和35年以前のぼくの歴史には、西暦が存在しないのだ。

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