小学校から高校まで、多くの担任の先生にお世話になった。
中学時代、2年生、3年生と担任していただいた先生がM先生だ。先生
の専門は「生物(理科)」。担任当時、M先生は30歳前後だった。
先生が結婚されたのは、昭和43(1968)年だ。私は高校3年になって
いた。
先生の新婚住まいは、私が下宿している先から1kmもあるかないか
と近かった。メールもない時代、どうやって先生と連絡したのか、ま
ったく覚えていないが、ともかく秋のある日曜、新婚の先生の所に手
土産を持ち、一人で遊びに行った。
普通であれば、玄関で「こんにちは」とご挨拶し、お宅に上がり、改
めて
「ご結婚おめでとうございます。これはつまらないものですが」
という流れになるのかしらん。
しかし、その時は玄関で呼び鈴を押すと、先生が現れ、
「お~、よう来たな。さあ上がれや」
「あ、はい。失礼します」
「どうや、元気にしてるか。下宿しとるんやな~」
と、私は礼儀知らずにそのまま世間話に突入してしまった。新婚の先
生の奥さまがお茶を出してくださる。
当時の私に
「このたびはおめでとうございます。失礼ですが、お見合いですか」
などと自然に言えるはずもなく、だらだらと雑談が続く。
どこかで
「このたびはご結婚おめでとうございます」
と言わなければならないということばかり考えていたので、先生との
会話もやや上の空に。
1時間ほど雑談していただろうか、とうとうお祝いの「口上」を言わな
いまま、
「では、そろそろ」
と失礼する時間になってしまった。
しかし、最後の最後にやはりお祝いは言わなければならない!と「決
意」した私は、玄関先で別れ際、大きな声で、
「このたびはご結婚おめでとうございました」(ペコリ)
先生は奥さまと顔を見合わせ、ニヤリとした。
昨年末、先生の奥様から先生が10月に亡くなられたという喪中のご挨
拶状をいただいた。
私は喪中のはがきを読みながら、50年前、先生の新婚宅を訪れたこと
を思い出していた。
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