映画『ラストエンペラー』が封切られたのは、昭和63(1988)年だか
ら30年ほど昔のことになる。坂本龍一の音楽(と「甘粕正彦」役で出
演)が有名だ。
久しぶりに『ラストエンペラー』(→こちら)をテレビで視聴した(1/4
放送)。
「ラストエンペラー」とは無論清朝最後の皇帝溥儀のことである。映画
では、それならではのフィクションが含まれている。
映画を観て思い出したが、中田整一『満州国皇帝の秘録--ラストエン
ペラーと「厳秘会見録」の謎』はおもしろい(以前取り上げたカナ)。
「厳秘会見録」とは、溥儀が会見した内容を通訳の林出賢次郎が後刻内
密に記録したものである。
*溥儀と言えば、自伝『わが半生』も有名だ。「厳秘会見録」など
と比べると、『わが半生』には明らかなウソがあるという。
溥儀も「厳秘会見録」が残っていたとは驚きだろう。
本書の最後(p319)は、まさにクライマックスだ。
私(中田整一)が溥傑(溥儀の弟)を訪ねたときのこと・・・・・・
「満洲国というのは溥儀皇帝やあなたにとって何だったのか」
と、単刀直入に訪ねてみた。
もの静かな溥傑の答えにためらいはなかった。
「私たちは、清朝復辟のために関東軍を利用し、関東軍もまた私た
ちを政治目的のために利用しただけです。そのための仕組みが『満
州国』でした」。
偶然かもしれないが、満州国とヒトラー政権はほぼ重なっている。
今から考えれば、「無理が通れば道理が引っ込む」時代だったかもしれ
ないが、ムリはそう長くは続かない、というのが「歴史の教訓」かしら
ん???
中田整一『満州国皇帝の秘録』幻戯書房(文春文庫版もある。)
* * * *
フランスのマクロン政権に対する黄色いベスト運動の抗議デモが9週連
続になったという。テレビでもデモ隊と排除しようとする警察の衝突が
報じられている。
合法的なデモであれば問題ない。しかし、「いかなる理由であれ」(と
いう点が大切だが。)無届けデモや暴徒化するデモはよろしくない。
それらには、マクロン政権は毅然として臨むべきだ。
--と書くと、読まれない「新聞の社説」になってしまうが(笑)。
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