河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

第4回動物実験委員会ほか

2010-10-07 | 大学
本日は朝一番から第4回動物実験委員会が行われた。
その後講義があり昼休みには実験動物慰霊祭が行われた。

午後から大学院の修士課程の学生に保健科学特論の講義を行ったが、本日は特別講師として保健福祉研究所のポスドクである野中哲士君に最近パブリッシュされたばかりの彼の論文についてパワーポイントを用いて解説をしてもらった。
彼の研究はフランスで石器を作る職人の技術をモーションキャプチャーで解析し、それを進化に結びつけて考察したもので非常に興味深くおもしろかった。
だいたい石器作りをしている職人というものが現代に存在していること自体が驚きである。

野中君はプロのミュージシャンとしての顔も持っている。
彼のホームページにはいろいろとおもしろいことが掲載されているので興味があれば見てほしい。

http://www.kiui.ac.jp/~nonaka_t/


保健福祉研究所のホームページに野中君が就任した時の挨拶文が掲載されている。
(以下、引用)


新スタッフの紹介
この4月より保健福祉研究所では,前任の井上茂樹さんに替わるポストドクトラルフェロー(博士研究員)を募集しておりましたが,このたび野中哲士さんが着任する運びとなりましたのでお知らせいたします.


博士研究員(ポスドク)就任のご挨拶
 この度保健福祉研究所のポスドクとして勤務させていただくことになりました野中哲士と申します.私は東京大学大学院学際情報学府で生態心理学を学び,昨年まではフランス国立社会科学高等研究院で研究員として勤務していました.
 私は,環境と行為がどのようにしてひとつに結びつくのかという問題に興味をもっています.免疫学者の多田富雄氏は自身のリハビリ経験について次のように記しています.「リハビリはひたすら歩く距離を延ばそうとしているだけだった。…入院している三ヶ月の間に約150メートル歩けるようになった.…しかし…,いくら訓練室で歩けるようになっても,私は一人で手洗いにも行けず毎日ベッドに張りついたままなのだから,今一つ成果に結びつかなかった.」普段あまり意識しませんが,私達の日常行為の周囲には,常にさまざまな抵抗や機会をもたらす具体的な環境があります.私達の日常行為においては,身体の動きは常に一定ではなく,周囲の状況に応じて柔軟に調整されています.たとえて言うならば,サーフィンの動きが波とともに生まれるように,私達の行為もまた,周囲の環境の性質とひとつに噛み合わさって生まれる側面をもっています.私は行為が周囲の環境の性質がどのようにして結びつき,動的かつ状況に依存した柔軟な機能達成の安定化が現れるのかという問題について,行為の「発達」と「変化」をキーワードとして,乳児の行為発達,モノや道具を扱う熟練技能から人類進化における石器使用に至るまで,様々な現象を対象として検討しています.
 私の専門の生態心理学では,人間や動物の行為は光や振動や接触などが独特に混合する周囲の情報に,環境が行為にもたらす制約や機会(アフォーダンスと呼ばれます)を見出していると考えます。多様な環境に適応する行為の柔軟性の獲得原理について検討することを通して,リハビリテーションにおける行為の再獲得という問題に,これまで得た知見を応用することができればと切に希望しています.どうぞよろしくお願い致します.
コメント
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