「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!(書籍紹介) 「『臨床心理学第16巻第5号―治療的コミュニケーション(金剛出版)』-コミュニケーション学習」

2024年06月18日 23時06分50秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
病院にいたときから、病院が定期購読していたのを借りてきて職場で読んで「これは良い」と思ったのは買ってたりしてました。で、何冊目かのこれです。
ちなみに2016年9月発行のものです。
内容は医師や心理士などが書いていますが、精神疾患から子供や認知症の患者さんとのコミュウニケーション、それぞれに関わっている方々が別々に書いてありますが、「傾聴」「会話」「観察」「幻聴が聞こえる方とのコミュニケーション」「トラウマケア」「虐待親」「少年受刑者との関わり方」「過去を振り返る」などなどです。
「あぁ、そうだな」とか「はっ!そういうことだったんだ。」と思うことがあって大変参考になりました。
私の考えですがコミュニケーションにはしっかりとした基礎部分が必要で、これはなにも特別な術ではなくて、家族や友人との日々の何気ないやりとりからでも養えるものだと思います。まっ、そういうことをやる仕事であったり、コミュニケーション能力を磨きたい人にとってはと言うことですが…。私のように『病的』に、人のことが気になってドンドン進んでいくのもどうかな?と我ながら思うのですが、なにせ『病的』なのでご容赦ください。初手として「相手に興味を持つ」ということが大事で、そう思うと「どんなことを考えているんだろう?」「どんな人なんだろう?」と知りたくなる。それをするためには、話す環境や話し手の気持ちなどを考えながら接していくことが必要で、ただ「聞きたいだけ」の興味本位では話し手に「なんだよコイツ」と思われるだけです。悪意やいい加減な気持ちは結構見抜かれます。「引く・押す」という術は当然持っていなくてはならないでしょう。
こちらの自己満足=自己満ではなくて、話し手である他人が満足する=他人満でなくてはね。
どんなことでもそうなんだと思います。よく身勝手にものを売りつける店員はまさに自己満。相手がなにを欲しいか考えて、店の中にそれに近いものがあるか、あれば客がそれに納得するための店員の技術は必要でしょう。相手の意向に沿って勧めるとお客さんが「これを買って良かった」と思うでしょうね。ここまで来るには応用的な術が必要で勉強が必要なんだと思います。反面、「なんでこんなの買ったんだろう?」と客が思って、返品したり即ネットで売ったりするようなものしか勧められない店員じゃあプロ辞めた方が良いね、ということです。

話しは大いに脱線しましたが…

この本、読まずに死ねるか!!













読まずに死ねるか!(書籍紹介) 「『老い・上』シモーヌ・ド ボーヴォワール 著」

2024年04月14日 13時54分21秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)

この本を買ったのは去年のいつだったか定かではありません。なにせ時間がかかりました。300ページを越える大著。ですが、まだ半分なんです。上巻でこのボリューム(~_~;)
著者のシモーヌ・ド・ボーヴォワール女史は、かの哲学者サルトルと事実婚をされていた方。事実婚であるので籍はいれていなかったようです。いわゆる「フェミニズム」のお方でサルトルは養女を迎えているようです。実質的には二人の養女と言うことになります。
本書は人間の『老い』について書かれているのですが、古典文学や世界の統計など資料を引用して書かれています。もちろん、サルトルの書籍からの引用もあります。私今年で51歳なんですが(えっ、51に見えない?ありがとうございます)、本書に書かれている古今東西の文献や風潮、医学的観点(いずれも当時のもの)では、もはや50代は『老い』の助走段階でバリバリ働くような年齢でも体力的でも適正から外れていて「もうすぐお払い箱」といった漢字の書かれ方をされていて、今回読了した上巻の後半になるとなおさら強く書かれていて出勤途中に、これを読んでいると電車の中で一人暗澹としてしまいます。(笑)
今、下巻を読み始めているのですが、下巻では少しだけでも希望が欲しい(笑)



この本、読まずに死ねるか!!


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ







読まずに死ねるか!(書籍紹介) 「弾左衛門と車善七 塩見鮮一郎 著」

2024年03月05日 20時34分22秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
久しぶりの賤民史です。
未読の本は数冊…(~_~;)
最近読んでいる他の精神疾患や哲学系の本よりもすいすい読めます。塩見氏の筆致も読みやすい。
さて、内容ですが本書は今まで書かれたもの数冊分を抜き出してあるものと、さらに資料を足してその解説を書いたものです。この著者に限らず、「弾左衛門」については今まで多く書かれたものがありますが「非人頭 車善七」についての記録は格段に少ない。この本は「穢多頭 弾左衛門」とその下に位置づけられた「非人頭 車善七」の関係があって、車善七の資料は弾左衛門との関わりで出てくるものや奉行所での裁判記録でしか登場しない。弾左衛門と車善七は両者ともに徳川家康が転封で三河から江戸に国替えさせられ、江戸に入った際に両人は徳川家康に「私は鎌倉以前から続く穢多頭の家柄で…」「頼朝公から朱印を頂いています」という触れ込みで来たものの、善七は弾左衛門の下部組織にさせられて、不満たらたらで百年近くたって弾左衛門配下であった同じく職能民である「歌舞伎役者/能楽者」「座頭」などは独立を許されて、なぜか善七はそのまま…。弾左衛門も車善七もお仕置き(処刑や流刑など)の片付けや管理をしていて、幕府も武士に「汚れ役」をしたくない。本書には斬首や磔(はりつけ)の様子や図や写真などがあって、よく分かるようになっています。また、地図も詳しく書いてあって弾左衛門や車善七が江戸という都市が拡大する過程で「お仕置き場(処刑場)」と共に役宅を移動していった様が詳しく書いてある。最後は浅草の新吉原周辺に落ち着きます。幕末を迎え、『四民平等』となり車善七はようやく弾左衛門の配下から解放された。その後の両者はというと弾左衛門は「弾直樹」と改名し、当時需要があった革製の軍靴加工に乗り出しますが、西洋製に負けて廃業。で、車善七はというと「長谷部善七」に改名。両者が担っていた賤民管理は明治政府がすることになった。また、「乞食」管理も政府がすることとなった。「最後の弾左衛門」である弾直樹は写真が残っているが「最後の車善七」である長谷部善七の行方がわからない。これはその後も続く差別意識のことを考えると仕方ないと思う。善七はおそらく江戸=東京を離れたのだろう。それと同時に過去の記録も消したのか?現在は地方の家から記録も出てきているようです。「史学」として研究が深まってくれればと思います。

「差別的好奇心」ではなく。


ん~この本読まずに死ねるか!!


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ





読まずに死ねるか!(書籍紹介) 「オープンダイアローグとは何か 斎藤環 著」

2024年02月18日 12時59分29秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
短い間隔で書籍紹介することになったのは、単に以前に紹介した本を紹介するのをなまけていただけです。「速読」出来るような人間ではなくて、「自称:遅読家」なので悪しからず。落語の小咄じゃないけど、読むのが遅すぎて終わりの方になると、前半部分を忘れてしまうくらいの遅さなんです。

さて、今回取り上げる「オープンダイアローグとは何か?」ですが、この本も前述の通り内容は忘れています(笑)昨日、読み終えたところなのに…。
まぁ、思い付くところだけ内容を言いますと…
・チームで支援すること
・チームで当事者宅もしくは当事者と面接できるところに行く(当事者の安全が担保される場所)
・面接の場でチームのやりとりをする
・あまり当事者が居ないところでミーティングをしない、その場ではいかなる決定もしない
・例えば、チーム5人で訪れるとすると、当事者側は当事者本人と家族(関係が悪くても)が参加する
・当事者が話すことの感想も面談している空間で話す
・もちろん、普段行われる面談のように当事者や当事者家族への語りかけ、質問を行う
・連絡があれば24時間以内に訪問する
・幻想、妄想を話しても、それについても聞く

思い付くまま書きましたが、チームのメンバー全員それぞれがコミュニケーションの力がそこそこないと難しいと思う。チームを作るのにはやはり病院側が「オープンダイアローグをしよう!」と思わないとチーム編成できない。
ただ、本書中には「コミュニケーションの肝(きも)」が書かれていて、私も「あぁ、そうだよね」と再確認したり、「なるほどね!」と思えるところも多かった。このオープンダイアローグは、当初統合失調症患者向けだったらしく、後になって「〇〇にもできるね」ということで広がっていったらしい。日本では国とか都道府県で行われいた/行われているアウトリーチみたいなもんだろうが、オープンダイアローグで強調されていた「本人のいない場所では何も決定しない」という所の違いは大きい。それとアウトリーチで訪問するのは1~2人程度で大勢で当事者もいるところで、みんなでディスカッションすることは無い。

そもそもですが、この「オープンダイアローグ」ですが、意は『開かれた対話』ということらしく、「開かれた」✕「対話」、かつ当事者や支援側の一方的な「一人語り=モノローグ(独白)」ということではない。今まで、現在行われている医療(精神科に限らず)や支援の場になると、当事者や支援側どちらかの「モノローグ」になりがち、というかそうなっている。でも、当事者の「モノローグ」も無駄ではなく、話していく内に「毒気が抜ける」、「話す内に自然と振り返りができる」という効果があるのは否定できない。

オープンダイアローグや診察、支援に限らず、普段の行われる家族、友人の間でも日常交わされるコミュニケーションは、その場限りの「一発勝負」で、その時その時でお互いの考えや状態が変われば、口調やトーンも変わっている。「対話は水物」なのです。ですが、日常的に会って居る人だと「あぁ、あの人ね」と、こちらの勝手で新鮮さを無くしているようなものだ。柄にもなく講師なるものをしているときには「初心対等」と、よく言っているのはこのことが念頭にあってのことです。
大いに脱線してしまいましたが、オープンダイアローグという言葉は知っていたものの、今回この本を読めて良かったと思います。対話は奥深くて概略は説明できても、現場ではそれぞれの実力次第です。このことも確か本書で触れていたと思います、多分…。オープンダイアローグは手段ではなく、それだけも十分意義があることも本書で強く主張されています。(これは確実)



あぁ、この本読まずに死ねるか!







読まずに死ねるか!(書評) 「精神分析新時代 岡野憲一郎 著」

2024年02月11日 22時53分36秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
最近、知人にこの存在が知れてきてやりにくくてしょうが無い(笑)

…というわけで?今回は書籍紹介です。
岡野先生の「精神分析新時代」!
これは多分以前に買ったものを書棚の肥やしにしていたんだと思います。(肥やし豊富)
岡野先生の書籍は解離性障害の本とか外傷後精神障害とか読んでいます。この方の書き方は単語は難しも取っつきやすくて読みやすい。この先生の「お得意?」のトラウマ、解離性障害のことをページの多くを割いています。アメリカ留学時代に診察-カウンセリングを続けた男性の話は、若かりし岡野先生の焦りや青さなんかも書かれていて面白いし、過去にあった凄惨な事件の犯人の精神状態を体系化しています。
第17章死と精神分析では、「森田療法」の森田正馬氏が自分の死に向かう過程を弟子や患者に見せて、かの「森田先生」であっても今際の際に生に対する執着が出たり、おそらくは譫妄がでて取り乱すような所も見せている。ご本人も様々な死を見届けてきているであろうから、自分も取り乱すことを想定しながら望んだに違いない。「凡人の死をよく見なさい」と、そばにいる弟子に言いながらさめざめと言ったという。
この森田氏のエピソードから思い出したのは、アニメの一休さんで有名な「一休宗純」。もちろん室町時代の実在の僧侶で、その人生はかなり破天荒。酒、女、僧侶でありながら長刀や刀を持って歩くなどをして、しかし人望もあり当時の仏教界にもの申すような方だった。もちろん徳も高い。そんな「超」僧侶の一休宗純が死に際に「死にたくねぇ~」といって亡くなった。人間的な僧侶であろうと思う。
両者ともに様々な人の死に立ち会い、自分もそうであろうと思い、自分の番になった時は、主観/客観を持ち合わせながら亡くなっていったのではないか?
「最後の精神分析」ということか?

自分の死にかけたてICUの一晩目の夜には「あぁ、明日生きてないな」と思った。その時は怪我が大きすぎて執着が生まれる余裕もなかった。なにせ病気のように徐々に体力が落ちていって衰弱死するわけで無いので。これから必ず来る自分の死に際で徐々に体力が落ちて死ぬ場合は「死にたくねぇ~」とわめくかも知れない、きっとそうだろう。その時に自分を客観視できるか?試される。母親を病院で看取ったとき、衰弱していく過程でまだ体力があるときは「痛い・辛い」と言っていたが、それも出来なくなったときには、言葉少なくなっていったし大事な言葉をポツリポツリと言って、最後には穏やかに亡くなった。「痛い・辛い」というのは生への執着であろうし、その後は抵抗する力もなくなっていく。

臨床家が人間分析をする最大のものは、自分をどう客観視できるか?それが正しいのか?考察出来るということが最後の難関のような気がする。反面、カウンセリングルームや診察室でカウンセリングをする際に、「私がこの人を捉えている認識は正しいのか?」という第二の自分を隣に座らせるように接していかなければいけない、そういう慎重さが必要で慢心、驕りは禁物と言うことだろう。なにせ、最も身近にいる自分自身の事もよく分からないのだから、他人のことの10%も解っているのかね?
あなたのことはよく分からないけど、あなたに関心があります。知ろうとしています。」という気持ちとそれが実際に見える形で表すということが大事なんだろうと思う。






相変わらずの脱線振り、失礼しました。


この本、読まずに死ねるか!!




にほんブログ村 その他日記ブログ 底辺男日記へ