『白丁(ペクチョン)』と言っても何のことか解る人は少なかろう。
日本では『(えた・えった)』と似た様な職種で「牛・豚の業」や
「食肉業」、「皮革業」に携わる方々のことを言う。
元は中国の身分制度から来たともいい、とかく牛・馬・豚などの解体業は
「中国・朝鮮・日本」の東アジアで共通した差別者になるらしい。
現代まで色濃く残っているのは日本で、
集落そのものが「」または「」だったりする。
朝鮮の場合は「日韓併合」や「朝鮮戦争」で被差別民が移動したり避難したりしているので
日本の様なそのまま残っている事は非常に少ない。
著者は十数年にわたり、韓国に渡り地道な取材をしている。
著者自体、日本で「被差別民」とされる家に生まれていて感じることがあり
「被差別民」の著作が多い。
私も書籍を追うだけであるが「ライフワーク」と思って調べている。
どこの国でもそうであろうが、「被差別」を取材する際、
周辺やそのに住み暮らしている住民にとって気軽に話せる様な状態ではない。
取材は困難を極め、その故に取材期間が長くなったことが読んでいると解る。
いま、韓国の「食肉業」は『白丁』の方々はほとんどおらず、
から引っ越しをしたり、職業を変えたりしている。
いま、業界を担っているのはほとんどが被差別民ではない。
しかし、この業界自体韓国では忌避される職種であるのは日本も同じである。
問題は食生活に欠かせない「食肉」であるのに、それを生業にしている人たちを
「白丁」や「」といって差別するという矛盾を抱えていることである。
これは人それぞれの感覚や風潮、風習という事に根付いており、
「時代が経てば、解消される」という種のものではないことは言うを待たない。
歴史を知り、その愚かさを知ることがなによりも大事であると私は思っている。
一読あれ!
この本、読まずに死ねるか!
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