みちのく童話会のお仲間、野泉マヤさまの新刊は、伝統野菜の物語。
宮城県加美郡加美町の小瀬という地域で、昔から作られてきたコゼナダイコンのお話です。
六年生の鈴は、ただひとり友だちと思っていた由衣ともうまくいかず、気が沈んでいた。
宮城県北西部の小瀬という里山のある町に住むおじさんの家で、
近くの小川ぞいに歩いていると、いちめん、白いものが目に飛びこんできた。
お花畑だった。四枚の小さな白い花びらが、風にゆれていた。
夢のような気持ちになって、お花畑の中を歩いていたら、灰色のロープのようなものがにゅるにゅるとうねり。
蛇だと気づいて悲鳴をあげ、花たちをなぎ倒しながらひっくり返った。
そこへやってきた怖い顔のおじいさんが、「こんなにコゼナダイコンをたおしちまって」と鈴をどなりつけた。
冒頭からぐっと引きこまれます。
仙台に帰り、大好きなごまドレッシングを買いに行った自然食品の店で、
「店長さんダメでした。仙台桜カブは、もう手遅れでした」と話す、中学生の牧人に出会う。
消滅していく伝統野菜のことを知り、「小瀬菜だいこんも、まぼろしになってしまった」と言われる。
勇気を出して、鈴は牧人に言った。
「小瀬菜だいこんは、まだ終わっていないと思います」
鈴と牧人はおじいさんに会いに行き、去年亡くなった奥さんが小瀬菜だいこんを作っていたことを知る。
そして、おじいさんの畑にふたりで種をまき、育てることに。
消えていく伝統野菜の種は、栽培している人をみつけて入手するしかないこと。
私たちが普通に食べている野菜は、戦後に改良されたF1種で、
形や大きさ、育つスピードも同じものだということ。
ああ、そうなんだよなあと、家の周りの畑を見ていました。
結局小瀬菜だいこんの日々の管理はおじいさんがすることになるのですが、
自分たちが種を蒔いて育てた小瀬菜だいこんを収穫し、
それを販売する戦略を練る姿もすばらしかったです。
点滴に繋がれ、寝ているしかない時に、夫氏が家に届いたこの本を持って来てくれました。
横になって読みだしたら、痛みも忘れて読みふけりました。
畑を作っているから共感できる部分もたくさん。
そして、白いお花畑に虫たちが飛び交う様子や、夕焼けの色に、ぐっときて。
野泉マヤさま、すてきな本のご上梓、おめでとうございます。
自然を愛する野泉さまのこんなご本、また読ませてください!
昨日は30分ほど畑と庭のお手入れをゆるゆるやっただけで疲れ果てた。
やっぱり体力が落ちているんだなと実感。
ほんとうに少しずつ少しずつ、元に戻して行かなくちゃね。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)