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『そこに言葉も浮かんでいた』おおぎやなぎちか・作 彩田花道・絵 新日本出版社

2024年12月26日 05時20分47秒 | 創作・本の紹介
おおぎやなぎちかさまの新刊は、新日本出版社の「こんな部活あります」シリーズの一作です。

 中学生になった栞奈は、公演でおばあさんに出会う。
 よくわからないことばかり言うのに「ため息の形なりけり春の空」と俳句をよむ、すずめさんというおばあさん。
 三年生で文芸部部長の高見連に、徘徊していたばあちゃんを助けてくれてありがとうと言われ、入部をすすめられる。
 文芸部新入生には、推しに読んでもらう小説家志望女子、アニメ監督志望で美術部と掛け持ちの男子がいた。
 部員と監督でビブリオバトルを行い、栞奈の本がチャンプ本になった……

と、あらすじを書いても、この本の良さは伝わらないかも。

部員たちひとりひとりが生き生きしていて、それぞれの内面をもっと見たくなる。
昔自分も好きだった図書室の静かな空間が愛おしい。
「日本児童文学」にも掲載された「イリーナ」……戦争と創作を綴った「失恋」の章は圧巻だった。

心にひびいた文章がいくつもあった。
「あ、わたし今、少し文学的だった。この空気のおかげかも」
「今、わたしの中に何かほわんとしたものがあるんですが……。まさか……?」
「この世に天才がいるとしたら、あきらめずにやり続ける人なんだと思うよ」
「(戦時中の)大変な時期でも自分を見失わずに表現をし続けてくれた人がいたってことに、おれは人間の強さを感じるんだ」
「そうか、文芸部で創作をするってことだって、自分の心を人にさらすようなものだものね」
「自分で言っていて泣きそうになる。こうして、自分の心の中を人に見せるのは、初めてだからだ」
「でも、書くことで、わたしの心は動く」

「創作」の原点を突きつけられた気がした。
読み終えて本を閉じ、表紙のタイトルを見て、さらに胸にひびくものがあった。

この物語はAIYAの合評会で読ませてもらったもの。
その物語が、ますます輝いて、一冊の本になった。

おおぎやなぎちかさま、この本のように、ますます輝いてくださいますよう。

相変わらずの感染症流行だが、ワクチンのキャンセルも相次ぎ、本まで読めた。
またじっくり読み直してみたいと思わせる、すばらしい本だった。
そして、自分の創作も、自分の原点にもどって、真摯な気持ちで書き直そうと思った。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
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2 コメント

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ありがとうございます!! (おおぎ)
2024-12-26 07:27:13
敦子様 お忙しい中、ありがとうございます。
自分が創作してきた中で感じたことや教わったことがとにかくたくさんあります。季節風やその他の創作仲間、俳句関係者、編集者さんなどなど、この本は皆さんのおかげで書けたものです。AIYAのメンバーには初稿を読んでいただいて、感謝です。ください。
 インフルエンザ、コロナと大変だと思います。敦子さんも気をつけてお過ごしください。
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Unknown (敦子)
2024-12-26 07:52:48
おおぎさま>

ガツンとやられました。
「創作とはこういうものだ」ということを突きつけられたようでした。
AIYAで読ませていただいた作品なのに、前に読んだ時よりぐんぐん迫ってきました。
おおぎやなぎさまの作品は、声に出して読んでさらに心に響きます。
私もこういう作品を書きたいと切に思いました。
おおぎさまも、健やかに新年を迎えられますよう。
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