日本人の中高年以上のヒトたちで、唱歌「冬の星座」と「星の界(よ)」を歌い分けられるヒトがどれぐらいいるんだろう。下にふたつの歌の歌詞の一番を添付したが、「さあ、どうぞ!」といわれて歌ってみると何やら混乱しまいか。
8・7・8・7・8・7・8・7という文字数による調子も、歌詞の長さも、メロディーもよく似ている。よって、歌い分けられるヒトでも、「冬の星座」の歌詞を「星の界」のメロディーで、反対に「星の界」の歌詞を「冬の星座」のメロディーで歌ってもなんら違和感もなく歌えるだろう。
ちなみに、ふたつの歌とも原曲はアメリカ人の歌の替え歌であるということも似ていて、「冬の星座」はウィリアム・へイスというヒトがが1871年にポピュラーソング「愛しのモーリー」として作曲したものに堀内敬三が替え歌を作詞し、昭和22年(1947年)に中学の教科書に載ったもの。そして「星の界」はコンヴァースというヒトが1850年ころに作曲したもので、よく知られた讃美歌312番「いつくしみ深し」のメロディーに杉谷代水が詩をつけ、明治43年(1910年).に小学唱歌になったのだという。「星の界」の方が古い歌だが、オイラはどちらも歌った記憶があるので、たぶん小・中の教科書に載っていたのだろう。
だが、この半世紀以上の時を経て,ふたつの歌は脳内に混とんとしてしまい、どちらがどちらの歌であるのか判別がむつかしくなっていた。しばらくぶりで、ふたつの歌をYoutubで確認し、歌ってみたが、やはり二つの歌は夜空の星の神秘と悠久を歌っており歌詞もどことなく似ている。だから、こうした混乱もやむを得ないのだろう。
今、冴え冴えとした冬の夜空に「冬の星座」に歌われたオリオンやスバルが輝きを放つ。これらの歌をハミングしながら晴れた夜には星たちの撮影をたしなもう。ただし寒いのでインターバル撮影やタイムプラスといったカメラまかせで、セットしたらぬくぬくとした部屋に引き込むのだが。
(下のスバルとオリオンの静止画は2019年1月に石垣島で撮ったもの。つくづく冷えない体で「冬の星座」を観察できた南西諸島の冬の体験はかけがえのない時間だったと回顧する。)
おうし座のアルデバランとその上方のスバル
左上にオリオン、その下におおいぬのシリウス、 右下にエリダヌス先端の一等星アケルナルが輝く。南西諸島ならでは画角だ。
冬の星座一番(作詞 堀内敬三)
木枯しとだえて さゆる空より
地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
ものみないこえる しじまの中に
きらめき揺れつつ 星座はめぐる
星の界一番(作詞 杉谷代水)
月なきみ空に きらめく光
嗚呼その星影 希望のすがた
人智は果てなし 無窮(むきゅう)の遠(おち)に
いざその星影 きわめも行かん
冬の星座 藤色くおん♬思い出さん提供(星の界も)<
星の界
現在の夜9時ころの軌跡 オリオンやシリウスが観察できる。 左真ん中の一番明るいのがシリウスだが、見ただけではわからないかも。もっと輝かせよう。