一般的生活では想定外だが、もし、野外
での生存でたった一つだけ望みの物を持
てる、という状況になったら何を選ぶか。
よくある質問だ。無人島にたった一人で
一つの物を、という類の。
やはり、塩よりナイフだろうなあ。選ぶ
のは。
ナイフがあると無いとでは大違いのよう
に思える。
『愛と死の記録』(1966年/日活)
渡哲也と吉永小百合が主演した純愛映画。
1966年。広島市の楽器店に勤める松井
和江は店の前でオートバイにはねられ
そうになる。そして謝りに来たオートバイ
青年三原幸雄と恋に落ちる。
純粋に惹かれ合う二人はやがて結婚を
意識しはじめる。
そんな中、仕事中に幸雄は貧血で倒れる。
幸雄は自分が4歳の時に被爆したこと、
原爆で両親を亡くしたこと、原爆症を
発症したことを平和公園で原爆ドームを
見上げながら和江に告白した。
原爆症による白血病のため原爆病院に
入院した幸雄を和江は毎日見舞って看病
した。回復を祈って千羽鶴も折り続けた。
しかし、幸雄は8月の終わりに病死して
しまう。
そして、和江は、決心した。
悲し過ぎる物語だ。
この作品がきっかけとなり、吉永小百合
さんは広島での平和祈念の朗読をする
ようになった。
そして、この和江と幸雄のような別れ
ではなく、愛し合った和江と幸雄の
ように現実の世界でも吉永さんと渡さん
が深く愛し合っていたのに、夫婦に
なれなかったのが哀しい。カルト的では
ない、いちサユリストとしては。
仕事柄、俳優同士の結婚はかなり難しい
のだろう。
結婚はゴールではなくスタートなので、
なおさらだろう。
吉永小百合・渡哲也
愛と死の記録(1)