どんなに腕の良い日本刀研磨師だろう
と、砥石が無くては刀は研げない。
そして、砥石はどれでもよいのでは
なく、良い砥石でないと研げない。
日本刀でなくとも、刃物は良い砥石が
あるからこそ研ぎができる。
特に日本刀の場合は、世界に類を
見ない「千年前の刀剣が現役」で
いられるという現象があるのは、
それは地球上で日本の京都だけに
仕上げ研磨用の砥石が存在したから
だ。これはたまたまの偶然だが、
創造主たる神が日本人にのみ与えた
行幸だ。それゆえ日本刀は単なる
刃物武器としての領域を超えて、
現世までも芸術的存在、日本人の魂
の象徴となるまで昇華することが
できた。
日本刀以外の刃物においても良質
な砥石が絶対に必要だ。
刀剣以外の刃物では、主として切れ
味を確保、復活させるために砥石の
存在がある。
砥石自体は全世界にあるが、日本刀
の仕上げ天然砥石のみは日本固有の
産出物であり、他の国では採れない。
だが、そうした問題を克服しようと
人間は努力をした。
レンガのように焼締めることで、物質
を人工的に加工して研磨用の砥石を
造り出した。
これは神の創造物ではなく、人間が
自ら発明し作り上げた物体だ。
人造砥石は、多くの功績をもたらし
た。日本には多くの砥石メーカーが
あり、世界にその技術の粋を発信し
ている。
そうした国内の砥石メーカーの中で
も、現在性能的に世界トップの人造
砥石を作る企業が栃木県にある。
それが日本が世界に誇るシャプトン
だ。
そのシャプトン社の人造砥石には
様々なラインナップがあるが、特筆
すべきは「刃の黒幕」というシリーズ
だ。
その中でも1000番オレンジはこれの
上の1000番砥石は現在のところ地球上
には存在しないと言っても過言ではない。
包丁研ぎからナイフ研ぎから日本刀の
下地整形にまで使える。
シャプトン刃の黒幕の優れている点は
その粒子の揃いもそうだが、天然砥石
のように水をかけるだけですぐに使え
る点だ。
通常の人造砥石は数時間乃至一晩水に
水没させておかないと使えない。
研ぎは研ぎ汁の発生により研磨性を
砥石が発生させるのだが、一般的な
人造砥石は十分に水を吸わせておく
必要があるのだ。(製品によっては
逆に崩れる物もあるので注意)
そして、何よりも、刃の黒幕の研ぎ
加減だ。
減りも少ないのだが、非常に目の
揃った針状部分もほぼ皆無の砥石
によって、素晴らしい研ぎ面が任意
に自在に研ぎ出せる。
また、研ぎ加減によって、1000番
であるのに、1000番以下から3000番
相当あたりまでの研ぎ加減をカバー
することができる。
天然砥石の青砥にその守備範囲は
近いのだが、研ぎ味はシャプトンは
シャクシャクと行く感じ、青砥は
粘り付く感じで、感触は異なる。
シャプトン刃の黒幕1000番を使うと、
もう他の人造1000番には手を出した
くなくなるのは正直な感想だ。
私の親友に歳が二つ上で学年が三つ
上の人がいる。
車もバイクもトイガンも能くこなす
人なのだが、研ぎについてはあまり
突っ込んではこなかったらしく、今後
は研ぎについて踏み込んでみようと
思うとつい先日言っていた。
いろいろ研究とリサーチもしている
ようで、選択肢は刃の黒幕1000番
一択と絞りこんだようだ。
正解かと思う。
私の周りにも、その優秀性を認めて
愛用している人たちも多い。
まず刀工小林康宏師が刃の黒幕1000番
を修正用に使用しているし、江戸刃物
師の左久作さんが刃の黒幕1000番を
使用しての研ぎを見せてくれた。
他にも私の友人知人でも刃の黒幕1000
番の使用者はとても多い。
理由は一つ。
物が別物、別格、格別、特別、抜群
だからだろう。
面白い話がある。
私の刀術のかつての神奈川の道場に
釣りと料理とナイフが好きな剣士が
いる。全日本大会で日本一になった
剣連刀術の腕前の人だ。斬鉄剣康宏
を複数持つユーザーでもある。
その彼が、これまで使っていた某社
の人造砥石ではどうにもうまく包丁
もナイフも研げないと悩んでいた。
「刃の黒幕使えば?」と私が言うと、
さっそく購入して試してみた。
すぐに連絡が来た。
「なんですか?この砥石は?」と。
今まで使っていた某有名会社の砥石
は「もう捨てます。いや、今捨てます、
今」と言う。
目からうろこだったようだ。
全くの別物である事は即座に体感できる。
私もそうだった。
刀工康宏などは「魔法の砥石」とまで
私に言っていた。
その彼の道場の後輩にある女性がいる。
学生時代に学生全国大会で優勝した
学生チャンピオンだった人だ。
その女性は刃物が好きらしい。
ある時、私の同門の前述の人が刃の
黒幕の砥石を薦めようとしたら、
その女性は既にもう持っていた、と
いうオハナシ。わははは、と笑い話
になった。
良い物は良い。物品は嘘をつかない。
良い刃物はどう逆立ちしても良いよう
に、良い砥石は良い。
刃物の場合、どれほど良質な物で
あろうとも、独断と偏見と妬みや
嫉みなどで悪口雑言、根拠なき揶揄
中傷を言いつのろうとする者がいたり
する。大抵は性根の腐った同業者だ。
大抵どころか、まず100%それ(笑)。
ところが、世の中、優れている物は
優れている。
隼よりもゼロのほうが優れている
ように、またゼロよりもグラマンの
ほうが総合的には優れていたように、
性能差というものは、せこい人間の
チンケなえげつない妬み根性などと
は無縁なところに存在している。
事実は事実であり、その事実こそが
真実なのである。
斬鉄剣などは斬鉄剣であるから斬鉄剣
と呼ばれたのであるし、アニメにさえ
名称が利用された。
それを現代特殊鋼を違法に使用して
造った違法登録の日本刀形状の物体で
いくらわが流の流派刀剣は竹が切れる
宇宙一の日本刀、とか自慢して、康宏刀
の事をネットで執拗に口汚く罵り続けて
いても、大元からして嘘で塗り固めて
妬み嫉みで裏付けされた心根で宣伝し
ているので、埒もない番外、慮外で
しかない。
論外通り越して大気圏外。
シャプトン刃の黒幕1000番は良い。
これは使ってみれば実感する。
ものすごい人造砥石を開発したもの
だと、シャプトン社の開発陣に頭が
下がる。
ご家庭の包丁研ぎでも、アウトドア
ナイフでも、シャプトンの刃の黒幕
の1000番オレンジはおすすめです。
あの砥石で研げないとしたら、それは
砥石のせいではなく、研ぐ人間のやり
方に問題がある。
ただし、減りにくい刃の黒幕とは
いえ、確実に減ります。
砥石の上面は、必ず修正砥石で磨って
まっ平にしてください。
平面がビシッと出ていない砥石では
刃物は研げません。