おれは男だ撮影見学記
圧倒的視聴率のNHK大河ドラマ
の裏番組で視聴率20%以上を
獲得していたお化け番組が日本
テレビの『俺は男だ!』だ。
1971年2月~1972年2月放送。
撮影は1970年からだろう。
放送時、私は小4~小5の時だった。
タイムリーに観ていた。
時は学生運動が下火になった時代
だが、女性の社会進出の躍進が顕
著になった頃でもあった。
その社会的風潮を「ウーマンリブ」
と呼んだ。
その社会現象は高校生や中学生
の間でも広まり、「女のくせに」
というそれまでの日本の男社会の
社会風潮が徹底的に糾弾され始め
た時代でもあった。
だが、この頃(今から50年以上前)
は、男女同権は日本では制度とし
ても確立していなかった。
日本は民主主義に疎い疑似民主主
義体勢だったから。
進学率も就職後の給与も男女では
大きな差があったのが当時の日本
だった。
女性は「家庭にいて子育てをして
いろ」というのが当時の日本だ
った。これ、現実。
女性で4年制大学に進むのはごく
限られた人数しかいなく、殆どが
「女は高卒で充分。進学したけれ
ば短大に行け」というのが日本の
空気だった。
1970年当時から10年後でさえ、
吉本芸人の女コンビの漫才では
「こいつ、おかしいでしょ?
女のくせに4年制大学行ってるん
ですよぉ」
というセリフが舞台で話されて
いて、それで客は笑っていた。
私の大学時代でさえそういう時代
だった。
『俺は男だ!』は原作は少女漫画。
原作よりも遥かにドラマが面白か
った。
時代を反映して、女性の権利に
目覚めたバトン部の女子高生吉川
君と、湘南の町藤沢の青葉高校に
転校してきた古風な気概を持つ剣
道部員小林弘二(森田健作)との
ぶつかり合いと高校時代の青春を
描いた学園ドラマ。
今から半世紀前のドラマだったが、
それまでの多くの学園ドラマを
遥かに凌ぐ歴史的金字塔の作品
となった。
実際、かなり面白かった。
何を描いたか。
「人間たち」を描いたドラマだっ
た。
それが絶妙で非常に良い作品だっ
た。
ただ、時代を感じる。
当時の高校生はこのドラマに描か
れたように、「社会的意識」を
誰もが持っていたのだ。
今の高校生は、小学生の延長の
ような風味に見える。実際に一部
を除いてとても総体として幼稚だ
し。ゆとりからZにかけてなどは
特に顕著だ。子どもがただ年だけ
くったような感じ。
ロケ地の藤沢商業高校でのこの
動画のピンナップはとても貴重
だと感じる。
非常に珍しい動画。
このドラマは、私が育った町での
物語だ。