(描き手 私)
毛筆の書でも描画でも物作り
でもスポーツでも武道武術で
もオートバイの乗り方でも、
一つの定理がある。
それは「お手本」を熟知して
まずそれをなぞってできるよ
うになる事だ。
これは日本の伝統的な芸術や
工芸などでは絶対的なセオリー
とされている。
そうして手掛けた作品は「写
し」と呼ばれる。
インスパイアを自分で体現し
て行くうちに、だんだんと実
力が身について、そこから自
分独自の表現技法が確立して
くるのだ。
漫画でさえそう。
好きな作家(複数でもよい)の
タッチを徹底的に自分で描き
ながら研究を深める。
すると、お手本が無くとも、
その作家のタッチで描けるよう
になる。
そこで一皮むける。
スポーツや武道武術などもそう
だ。
まず先生の言う通りにやって
みる。寸分たがわず。
それを続けると「守破離」と
いうような段階を歩める。
最初は教えを守り、そしてそこ
から独自なものを会得して独立
研鑽段階になり、やがてオリジ
ナルのアイデンティティを獲得
して離れる、という具合に。
オートバイの操縦だってそうだ
よ。
技術系や芸事はすべてにそうい
う定理が働いている。
実は学問もまったくそうだ。
盲目的に権威筋に追従するのと、
敬意を以て先達の歩んだ道を研
究するのとでは大違いなんだか
ら。
アインシュタインでさえも哲学
者スピノザを敬愛しきっていた
のだから。それは盲目的ではな
く理知において。
「何も考えずに権威を敬うことは
真実に対する最大の敵である」
(アルベルト・アインシュタイン)