Luke Landwalker CUE
私が私のキューをオールドTADと
同じロングデルリンにしてある
意味は、故TADコハラさんの作る
キューが大好き、世界で一番好き
というのもあるが、実は別な意味
がある。
それは、初期のTADがそうだった
ように重量調整の為だ。初期に
は一本木だった為にそれを選択
した。
そして、重量配分の意味がある。
キュースティックは、マスを中央
に集中させて真ん中にすべて重量
配分を寄せる事が良質なアビリティ
の確保には繋がらない。釣り竿
やオートバイ設計と同じだ。フィッ
シングロッドに胴調子、先調子が
あるように、スティッフな部分を
どこに取るか、また重量配分を
どうするかで、長物の得物の性能
はまるで違ってくるのである。
(作画私)
デルリンはバラブシュカやザンボッ
ティやTADが多用した。
当時新開発で登場した産業樹脂
のデュポン社の登録商標製品だっ
た。カジリ帽子の為に開発され
た化学素材だ。タービンの軸受
けなどに使われていた。
その後、多くの化学製品企業
から様々な樹脂材が開発発売
されるようになった。ソマラ
イトなどもデルリンに似た
質性の良質産業素材として
多くの分野で使用されてい
る。
そして、重量配分の意味がある。
キュースティックは、マスを中央
に集中させて真ん中にすべて重量
配分を寄せる事が良質なアビリティ
の確保には繋がらない。釣り竿
やオートバイ設計と同じだ。フィッ
シングロッドに胴調子、先調子が
あるように、スティッフな部分を
どこに取るか、また重量配分を
どうするかで、長物の得物の性能
はまるで違ってくるのである。
(作画私)
デルリンはバラブシュカやザンボッ
ティやTADが多用した。
当時新開発で登場した産業樹脂
のデュポン社の登録商標製品だっ
た。カジリ帽子の為に開発され
た化学素材だ。タービンの軸受
けなどに使われていた。
その後、多くの化学製品企業
から様々な樹脂材が開発発売
されるようになった。ソマラ
イトなどもデルリンに似た
質性の良質産業素材として
多くの分野で使用されてい
る。
初期TADはブランズウィックの
タイトリストというワンピース
のハウスキューを二分割して
2ピースにする事から始まった。
これは多くのカスタムキュー作者
が始め出していた事で、バラブ
シュカさえもそれから始まった。
1960年代初期までは、キューは
玉台のメーカー品しかなかった
のだ。
名人ティム・スクラッグスの手に
よるブランズウィックのタイト
リスト・コンバージョン。
ハウスキューを分割ジョイント
構造にし、ほぞを切って糸巻き
にし、ウエイトボルトを入れて
エンドキャップデルリンを削っ
て装着させ、ゴムバンパーを
着けてある。ここには写って
ないが、シャフト先のフェラル
も別途製作装着。
これがごく初期のカスタムキュー
の王道だった。
ゆえに四剣が多い。上級ハウス
キューの本はぎをそのまま使用
したからだ。
コルトの黒色火薬パーカッション
モデルをカートリッヂ式に改造
したようなコンバージョンが
ビリヤードキューでもよくカス
タムされた。
ゆえに、最初からの一品物の
製作者作品であっても、キュー
ビルダーの作ったキューは
「カスタムキュー」と呼ばれる
ようになった。
「カスタム=良質改造」が
アメリカのキュービルダーの
クラフトマンの原初だったから
だ。すべては既製品の改造改良
から彼らビルダーは生まれたと
いうアメリカの歴史があるのだ。
西部開拓時代の銃の改造者=
コンバージョン・モデル製作
者の経緯にほんとによく似て
いる。
最初のカスタム製作者の一人でハウスキューを分割ジョイント
構造にし、ほぞを切って糸巻き
にし、ウエイトボルトを入れて
エンドキャップデルリンを削っ
て装着させ、ゴムバンパーを
着けてある。ここには写って
ないが、シャフト先のフェラル
も別途製作装着。
これがごく初期のカスタムキュー
の王道だった。
ゆえに四剣が多い。上級ハウス
キューの本はぎをそのまま使用
したからだ。
コルトの黒色火薬パーカッション
モデルをカートリッヂ式に改造
したようなコンバージョンが
ビリヤードキューでもよくカス
タムされた。
ゆえに、最初からの一品物の
製作者作品であっても、キュー
ビルダーの作ったキューは
「カスタムキュー」と呼ばれる
ようになった。
「カスタム=良質改造」が
アメリカのキュービルダーの
クラフトマンの原初だったから
だ。すべては既製品の改造改良
から彼らビルダーは生まれたと
いうアメリカの歴史があるのだ。
西部開拓時代の銃の改造者=
コンバージョン・モデル製作
者の経緯にほんとによく似て
いる。
あるハーマン・ランボウの作は
多くの新規性から歴史的なプレー
ヤーに愛用された。ウイリー・
モスコーニもそうだ。
そしてソ連移民のグレゴリー・
バラブシュカがジョージと移民局
で誤って名前登録され(ロシア語
発音はリゴリヤ)、米国人となっ
てからキュー作者として本領を
発揮し、「キュー製作の神様」
発音はリゴリヤ)、米国人となっ
てからキュー作者として本領を
発揮し、「キュー製作の神様」
と呼ばれた。
バラブシュカは幻のキューとも
呼ばれ、今では残存個体は市場
には出ない。
出たとしても数千万円程の値に
なる。日本刀にそっくりだ。
バラブシュカに最初ハギのブランク
を提供していたのがイタリア移民
のガス・ザンボッティだった。
ウイリー・モスコーニにしろ、
バラブシュカにしろ、ガス・
ザンボッティにしろ、移民たち
の多くが偉大な足跡を残している。
バラブシュカにしろ、ガス・
ザンボッティにしろ、移民たち
の多くが偉大な足跡を残している。
TADコハラさんも日本からの移民だ。
広島県人。コハラタダチさんは原爆
投下の時は廿日市にいた。
そして、アメリカに戻り、ボウリン
グ場経営等いろんな職業に就き、
玉屋のオヤジになった。
そこに集まる賭け玉撞球師たちの
希望で、ハウスキューを切って連結
させる事からコハラさんのキュー
作りは始まった。
コハラさん自身はプレーヤーでは
ないが玉は撞く。
全く撞けないで玉撞き用の道具は
作れない。ただ、上級トーナメント
プレーヤー、裏世界のギャンブル
プレーヤー程には撞けないという
だけだ。
1960年代のカリフォルニアの地元
オレンジカウンティの地方紙に
掲載されたTADコハラ。
晩年のTADさん。
後ろは左からリチャード・ブラック、
ビル・シック、アーニー・ギュテレス
という大御所たち。
ガン治療のために放射線治療を
受けたら、その影響で歩けなく
なってしまった晩年のTADコハラ
タダチさん。この後まもなく
TADコハラさんは他界された。
今、TADキューは息子さんの
フレッドコハラさんが全技術を
継承してTADキューを継続して
製作している。
カスタムキューでビリヤードを
プレーするとき、それは日本刀
を使うのに非常に似ている事に
気づく。
それは、「このキューを作った
作者と共にビリヤードテーブル
に向かっている」という現実に
気づかされる事だ。
作ったその人がいなければ自分
のプレーが成立しない。技も何
もない。そこに立つ事自体が成立
しない。
日本刀も全く同じなのだ。
どこの誰が作ったのか分からない
量産工業軍刀などとは明確に異
なる現象に気づくとき、ある
ひとつの大切なものが見えて
くる。
そして、それが表現者である自分
のパッションに繋がる。
まるで心意気を繋ぐかのように。
この自覚の有無は、極めて重要な
「体現者」にとっての精神的支柱
と具体的な物と人間の結節点と
なる。
カスタムキューという一点物の
オリジナルキューの位相は、まさ
に日本の刀鍛冶が打つ日本刀と
全く同じであり、シリーズ化され
た工場メーカー製品とは全く別な
次元にあるものであるといえる。
工場メーカー品でも、アダムなど
はかつては粕谷さんという名人
職人が製作したハギ物とかは、
知る人たちの間では知られていた。
まるでヤマハギターのテリーさん
(現在独立。カスタムギター製作
者。T'sTという最高の名器を作る)
のような存在の人たちがビリヤー
ドキューの世界にもいた。
ただ、日本の場合は、アメリカン
カスタムキューのように製作職人
は多くは育っていない。
大抵は経済的な円滑さの継続が
困難となり作ることをやめて
しまう。心意気だけで物は作れ
ない。盤石の経済体制を築かない
と。技術よりもそちらのほうが
実は大切なキモだったりする。
使う側のパッションとしては、
これは日本製は工場製品でも
オートバイのヘルメットのよう
に世界トップレベルの製品を擁
するから超高価なカスタムキュー
は必要ないという現象が背景に
一般的には撞球界にはある事だ
ろう。
けだし、カスタムキューにハイ
テクシャフト装着などはナンセン
スの極みだが、工場量産キュー
ならば、性能の7割を決めてくる
シャフト選択をハイテクシャフト
に換装しても精神的な違和感も
躊躇も無い事だろう。
ただ、キュービルダーの作る
カスタムキューにハイテクシャ
フト装着は、その製作者の渾身
のシャフトを捨てる、使わない、
という事なので、失礼の極みだ。
製作者は鷹揚に応えるかも知れ
ないが、ひどい事なのだ、その
オリジナルを使わずに先っぽ
だけを工場開発製品に交換して
いながらバットという下側部分
だけを呼称して「これはTADだ」
とか「ザンボッティだ」とか言う
のは。かなり作者に失礼。
ビルダー本人が作る新構造の
シャフトならば話は別。
ワンオフで注文主の為に作るの
だから。
今、国内キュービルダーでは大阪
のTⅡFの土田さんのキューが性能
では一つ抜けているだろうか。
完全コンプリートキューは多くの
プロも使っている。
キューのファンシー仕上げでは
ラッキー菱沼さんの作品が現在
最高峰のように思える。
ラッキーさんはキューという世界
を知り尽くした元トーナメント
プロ。
たぶん、日本人の中で一番撞球
キューについての深い見識を持
っている人ではなかろうかと
思う。
コレクターの金持ちは多くいる
のだが、菱沼元プロは見識その
ものが深く、また斯界の研究者
としてもとてつもない確かな
意識を持っている。
また、アメリカンビルダーとの
交流も深い。
そして、娘婿さんたちはビルダー
の世界に入った。後継者もすで
に作った。
ラッキー菱沼製のオリジナル
ソリッドシャフトは1本5万円
以上するが、素晴らしいアビリ
ティを発揮するのではなかろう
か。
つい最近、A級の19歳の外国人
の撞球者の子が私に言ってた。
「ハイテクはハイテクで良い
のだけど、どうしても縦に
玉が割れるので限界がある。
ノーマルシャフトのほうが
多様な玉を撞ける」と。
その通りだと思う。
わかってんね(笑)。
まるで私が言わんとするセリフ
をそのまま代弁したみたいで、
思わずクスリとなった。
ま、プレーでは私は全く適わ
ないけどさ(笑)。
キューを作る事自体は難しくは
ない。ジョイントパーツも売ら
れている。
バットキャップのみはレースで
自分の設計通りに削り出さなけ
ればならないが、自分の旋盤で
あろうと借り物の旋盤であろう
とも、軸穴にキューが通るレース
と各種ビットがあれば、ビリヤ
ードキューは作れる。
キューを作る事自体は難しくは
ない。
難しいのは「良いキューを作る」
事だ。
後ろは左からリチャード・ブラック、
ビル・シック、アーニー・ギュテレス
という大御所たち。
ガン治療のために放射線治療を
受けたら、その影響で歩けなく
なってしまった晩年のTADコハラ
タダチさん。この後まもなく
TADコハラさんは他界された。
今、TADキューは息子さんの
フレッドコハラさんが全技術を
継承してTADキューを継続して
製作している。
カスタムキューでビリヤードを
プレーするとき、それは日本刀
を使うのに非常に似ている事に
気づく。
それは、「このキューを作った
作者と共にビリヤードテーブル
に向かっている」という現実に
気づかされる事だ。
作ったその人がいなければ自分
のプレーが成立しない。技も何
もない。そこに立つ事自体が成立
しない。
日本刀も全く同じなのだ。
どこの誰が作ったのか分からない
量産工業軍刀などとは明確に異
なる現象に気づくとき、ある
ひとつの大切なものが見えて
くる。
そして、それが表現者である自分
のパッションに繋がる。
まるで心意気を繋ぐかのように。
この自覚の有無は、極めて重要な
「体現者」にとっての精神的支柱
と具体的な物と人間の結節点と
なる。
カスタムキューという一点物の
オリジナルキューの位相は、まさ
に日本の刀鍛冶が打つ日本刀と
全く同じであり、シリーズ化され
た工場メーカー製品とは全く別な
次元にあるものであるといえる。
工場メーカー品でも、アダムなど
はかつては粕谷さんという名人
職人が製作したハギ物とかは、
知る人たちの間では知られていた。
まるでヤマハギターのテリーさん
(現在独立。カスタムギター製作
者。T'sTという最高の名器を作る)
のような存在の人たちがビリヤー
ドキューの世界にもいた。
ただ、日本の場合は、アメリカン
カスタムキューのように製作職人
は多くは育っていない。
大抵は経済的な円滑さの継続が
困難となり作ることをやめて
しまう。心意気だけで物は作れ
ない。盤石の経済体制を築かない
と。技術よりもそちらのほうが
実は大切なキモだったりする。
使う側のパッションとしては、
これは日本製は工場製品でも
オートバイのヘルメットのよう
に世界トップレベルの製品を擁
するから超高価なカスタムキュー
は必要ないという現象が背景に
一般的には撞球界にはある事だ
ろう。
けだし、カスタムキューにハイ
テクシャフト装着などはナンセン
スの極みだが、工場量産キュー
ならば、性能の7割を決めてくる
シャフト選択をハイテクシャフト
に換装しても精神的な違和感も
躊躇も無い事だろう。
ただ、キュービルダーの作る
カスタムキューにハイテクシャ
フト装着は、その製作者の渾身
のシャフトを捨てる、使わない、
という事なので、失礼の極みだ。
製作者は鷹揚に応えるかも知れ
ないが、ひどい事なのだ、その
オリジナルを使わずに先っぽ
だけを工場開発製品に交換して
いながらバットという下側部分
だけを呼称して「これはTADだ」
とか「ザンボッティだ」とか言う
のは。かなり作者に失礼。
ビルダー本人が作る新構造の
シャフトならば話は別。
ワンオフで注文主の為に作るの
だから。
今、国内キュービルダーでは大阪
のTⅡFの土田さんのキューが性能
では一つ抜けているだろうか。
完全コンプリートキューは多くの
プロも使っている。
キューのファンシー仕上げでは
ラッキー菱沼さんの作品が現在
最高峰のように思える。
ラッキーさんはキューという世界
を知り尽くした元トーナメント
プロ。
たぶん、日本人の中で一番撞球
キューについての深い見識を持
っている人ではなかろうかと
思う。
コレクターの金持ちは多くいる
のだが、菱沼元プロは見識その
ものが深く、また斯界の研究者
としてもとてつもない確かな
意識を持っている。
また、アメリカンビルダーとの
交流も深い。
そして、娘婿さんたちはビルダー
の世界に入った。後継者もすで
に作った。
ラッキー菱沼製のオリジナル
ソリッドシャフトは1本5万円
以上するが、素晴らしいアビリ
ティを発揮するのではなかろう
か。
つい最近、A級の19歳の外国人
の撞球者の子が私に言ってた。
「ハイテクはハイテクで良い
のだけど、どうしても縦に
玉が割れるので限界がある。
ノーマルシャフトのほうが
多様な玉を撞ける」と。
その通りだと思う。
わかってんね(笑)。
まるで私が言わんとするセリフ
をそのまま代弁したみたいで、
思わずクスリとなった。
ま、プレーでは私は全く適わ
ないけどさ(笑)。
キューを作る事自体は難しくは
ない。ジョイントパーツも売ら
れている。
バットキャップのみはレースで
自分の設計通りに削り出さなけ
ればならないが、自分の旋盤で
あろうと借り物の旋盤であろう
とも、軸穴にキューが通るレース
と各種ビットがあれば、ビリヤ
ードキューは作れる。
キューを作る事自体は難しくは
ない。
難しいのは「良いキューを作る」
事だ。