夜、妻と茶の間で『猫侍』の
シリーズをずっと観ている。
静かに面白い。
玉之丞役の役者猫は3匹が出演
しているそうだ。
本名あなご(14歳 ♀)・さく
ら(若4歳 ♀)・さくら(大人
15歳 ♀)との事だ。
主人公の剣客班目久太郎(北
村一輝)の刀の下緒さばきは、
初作では江戸期には一切存在
しなかった昭和に発生した夢
想神伝流の前垂らし右結束で
行っている。
(下緒の前垂らし右結束は昭
和10年より少し前に武徳会の
中山博道が考案。戦後は弟子
のすすめで「夢想神伝流」を
名乗るが戦前は長谷川英信流
<下村派>を名乗っていた)
SEOSIN 2からは江戸期の本物
の江戸期の武士の下緒さばき
の鞘掛け方式で北村一輝はさ
ばいている。
だが、新陰流等の古流剣術や
土佐の無双直伝英信流居合の
ように正しく鞘掛けしている
が、明治以降昭和時代の現代
居合道英信流のように端を袴
帯に結束している。
これは江戸時代には存在しな
かった。
ただ、江戸期には全く存在し
なかった前垂らし右結束より
は時代考証的にはましだろう。
江戸期の本物の武士の下緒さ
ばきは鞘掛けで垂らし放しだ。
そして、下緒の長さは鞘と同
程度もしくは鞘より短い長さ。
鞘掛けして垂らしても地面に
引きずるような事は無い。
現代武道において鞘掛けを正
しくするも、下に垂らした時
に地面に引きずるのは、それ
は現代居合道用の結束を前提
とした超特大の長すぎる下緒
を着用しているからであり、
装備の着装の誤りである。
古流古伝をやるならば、江戸
期の武士の刀の下緒と同じ長
さにすべきだろう。
広島藩三原に残っていた新陰
流系の信抜流剣術では、刀の
下げ緒は江戸期と同じ長さに
しており、鞘掛けも江戸期と
同じ古伝を伝える。
宗家は今は三原市外の方が江
戸期の伝系を継承している。
信抜流居合剣法は現代にあっ
ては、短い江戸期の長さの下
緒で正しく鞘掛け垂らしを伝
える稀有な古流流派である。
鍵槍の佐分利流槍術を併伝し
ている。
ただし、古武術研究の観点か
らは、抜きつけ切り下し後の
血振るい動作において本古伝
とは異なる刀回しの所作を加
えており、昭和期に別派の影
響が加味された可能性がある
と推測できる。
江戸期の武士の刀の下緒の長
さ。
正しく鞘掛け垂らしで江戸時
代の武士の所作で下緒をさば
いても、下緒の端は地面には
着かない。
この江戸期の武士様式を伝え
る武芸流派は現代では極めて
少ない。
玉之丞を演じた女優猫の「あ
なご」は最初は里親探しの捨
て猫だったらしい。
それが引き取られ女優猫とし
てデビューし大人気となった。
玉之丞役の本名あなごは2019
年に20歳という生涯を大往生
で終えたという。
たとえ長屋住まいでも、江戸
に住むのは良い。
それは、「人」がいるから。
これはドラマや映画だけでな
く、実際に濃い人の息遣い
があったのが江戸だろう。
武士は江戸詰藩士も幕臣御
家人も超貧乏だったが。
長屋住まいの牢人は尚更。
江戸は町人の暮らし向きの
ほうが豊かだった。
だが、それでも江戸は格別。
江戸っ子は短気で頭はよく
ないが、人情味が日本一あ
るのも江戸だ。
武士も町人も江戸の万人は
唐竹を割ったように気風(き
っぷ)がスカッとしている。
その気立てが江戸の特徴だ。
男も女も瞬間湯沸かし器だ
が。だが腹に持つド腐れは
いない。
その気性は150年後の今で
も生きている。これほんと。
他の土地とは人の柄がまる
で違う。
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現在の旧江戸地区。