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お陰様で、今日息子が、九歳になりました。
特に今年は世界的に天変地異並みなことがありましたが、
こうして今年も無事にこの日を迎えることができ、僕もこうして、ある意味、のん気にいつものようなブログを書くことが出来ています。
人生、全ては糸のような運の連続。
いつどこに、どんなクレバスがあるかわかりません。
本当に、ありがたいことです。
それにしても、あっという間です。
生まれたとき、一歳、二歳、三歳、四歳、五歳、六歳、七歳、八歳。
うーん、こうしてみますと、確かに大きくなっているのですよね。
でも、ずーっと、同じ息子なんですけどね。
三歳の時のブログに、で止まってても、全然いいのに、と書きました。
その時の気持ち、覚えているんです。
でも、それから6年が経って、その毎日に思うことは、
前の方がいいなんて、一度たりとも、これっぽっちも思わなかったです。
ずっと、いつも、”今日の息子”が一番可愛くて、一番素敵で、一番愛おしくて、
少しづつの毎日の成長が、本当に嬉しく、楽しい。
そんな毎日が、連綿と続いています。
さて、この先、これはどうなっていくのでしょう。
いつか、親離れ、子離れ、そんな日が(時期が?)来るのかもしれません。
まだまだ、「パパ、お休みー!」って、毎晩、僕の部屋に来ます。
一度ベッドに行ってからも、またドアが開いて、
「パパ、お休みー!」ってまた来るので、ぎゅっと抱きしめながら「どした?」と訊くと、
後ろから嫁が「・・・やっぱり、もう一回パパに会いに行く、ってベッドから出て行った(笑)」などと。
こんなことは、さすがにもうあと数年(1年もあるかな?)もしたらやってはくれないかもですよね(笑)。
でも、・・・僕がやるかな(笑)。
よし、中学生になっても、チューしてやろう(絶対に嫌がりますね(笑))。
でもほんと、そんな感じです。
朝、ご飯を食べている息子に見とれています。
クルマで生意気にも(ブースターシートに乗っかって)助手席に乗っている息子をちらちらと見ては、にやけています。
お風呂上りに、髪の毛を乾かしてあげるのは僕の役目。
びしょびしょの状態で、そっと僕の部屋のドアを開けます。
僕も、もし何か仕事をしていても、その時だけは、中断。
髪の毛を乾かしながら、少しお話をして、それから寝るまでのわずかな時間、僕の部屋に来て、また少し大好きなクルマの話をしたり、一緒に音楽を聴いたり。
僕にとっても、絶対に無くしたくない、大切な時間なのです。
今年はコロナの影響で、特に3月、4月の自粛期間、本当に家族の時間になりました。
世の中的には大変なことになりましたが、家族のことだけを考えますと、コロナがなければ絶対に持てなかったでありましょう、貴重な時間になりました。こういうご家庭も多いのではないでしょうか。
外出がままならなかった分、何とは無しに音楽を聴きながら、あてどなくクルマを走らせたりしたことが何度かありました。
ある日、
「パパ、この曲なに?」
と、あるクラシックの曲のメロディの一部を歌ったのです。
「チャンチャンチャーン、チャンチャンチャンチャンチャンチャン、チャンチャンチャンチャンチャーン・・・」
「なんか、これが好きになったんだって」と嫁。
なんか、聞き覚えのあるような・・・でも、なんだっけ?
「それ、パパ知ってる?」
「知ってるよ!だって、パパのクルマで聞いたんだから」
「そうかー、じゃあ探してみようかー」
家族で集まって、僕の部屋のPCでクルマに積んでいる音源と同じものを、かたっぱしから流していきましたら、
「あ、これだよ!これ!」
「これかー」
モーツアルトのトルコ行進曲でした。
「これが好きなんだよ。これ弾いてみたい」
「えー!こんなの小学生で弾くの?」
「絶対弾く!」
「じゃあまずはしっかり覚えよう。体に入れよう」
こんなやりとりがあって、4月から、クルマに乗るたびに、トルコ行進曲がエンドレスで流れることに(笑)。
終わると、「はい、最初から」と自分で頭に戻します。
「また聴くの?もう5回以上聴きましたが」
僕の方が飽きてきたりして(笑)。
そして、ある日、冒頭のメロディを弾き始めたんですね。譜面は見ないで。
そして、「ここ、左手はどうやるの?」と。
「まてまて。じゃあ、パパも練習する(笑)。教えられないから、ちょっと待って」
と、それから僕が、一応持っているだけ持っていたクラシックの曲集の譜面を広げて、一から練習ですよ。
音符だけだと、構造が理解できないし(僕は)、絶対に覚えられないので、まず、コードを振ってね(笑)。
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それから、息子が長い春休みの宿題をやっている横で、
「ハイ、ムスコは勉強しなさい。パパはトルコ練習するから」
「それ、いいね!」
「よし、頑張ろう!」
「うん!」
なんて、よくやってました。これも、ある意味”コロナのくれた時間”でした。
しかし、さすがにクラシックはかならず難しいところがありますよね。
どうにか通しで、でも、えっちらおっちらですが、弾けるようになるのに、一か月以上はかかりましたが、今だってノーミスでスラスラは・・・いや、難しいですよ(笑)。
それから、今度は息子の番でした。
徐々に徐々に、少しずつ、片手ずつ、覚えていって、
でも、6月頃には、「いいね!今年の発表会でトルコ弾く」なんて言い出して。
まだ、例の難しい早弾きのところまでも行ってないのに(笑)。
嫁が
「えー、ほんとー?トルコ行進曲って、フジ子・ヘミングさんとかが弾く曲でしょ?(嫁は音楽関係の人ではないですが、なぜか知っていた・・・)、やるならちゃんと(笑)」
と心配をして、僕は
「でもまあ、弾きたいの弾くのが一番。パパがアレンジしてあげるから、大丈夫だよ。出来なかったら、そこからブルースでもやろう」
と、まだ半年近くもあるんだから、とタカをくくっていたのに、
・・・その発表会が先週10月3日に、ちゃんとその日が来て、終わったのですよ。
結局、時々、
「よし、コロナ行進曲やるぞ」
「パパ、トルコだよ」
「あ」
みたいなくらい、2020年のコロナ=トルコ(行進曲)の思い出になりました。
結局、本当にこの半年、本当に粘り強く頑張って、まだオクターブも届かないので、アレンジはしましたが、難しい早弾きも頑張って、その日を迎えたのでした。
一人、ステージでスタインウェイに向かう息子を、心配とも誇らしいとも、どちらでもなくて、無心で・・・
でも、本心は、遠くから抱きしめている気持ちで・・・でも、今はそこで、一人だよね。がんばれ!!!
と、じっと観ておりました。
そして、途中から僕も参加。
「一人で弾いてみたい」とトルコ行進曲を一通りのところをやって(後半のオクターブ・スパンのメロディ~左手のアルペジオのところはまだ無理ですが)、一緒にAのブルースをやって(トルコ行進曲はAm~Aなので)、またトルコに戻って、グリッサンドで決めて、無事に終了。
家だったら、抱きしめて頭にチュー!!だったのですが(笑)、さすがに発表会でしたので、ハイタッチをして、舞台を降りました。
本当によく頑張った。
袖に引き上げた時、先生たちからは
「今年も、ありがとうございました!」
なんて言ってもらえて(そんな発表会、僕は自分では経験したことがなかったのですが)、
でも、僕の気持ちは、実はそこにありまして。
「ステージは楽しくなくちゃね!僕たちも、そして、お客さんも!」
ですから、そんな先生たちのリアクションも、とっても嬉しかったのです。
きっと息子も、感じてくれたのではないかと思っているのです。
演奏して「上手だったね」と褒められる、とか、間違って「もっとしっかり練習しようね」と怒られる、とかではなくて
もしもちょっとくらい間違ったとしても、自分が、一生懸命気持ちを込めて演奏をしたら、
人から「ありがとう」って言ってもらえるんだよ。
音楽って、
そういうものなんだよ、ってことを。
家に帰ってきて、着替えて、リラックスして。
リビングをバタバタ走りながら、息子がニコニコしながら、
「さあて、来年は何弾こうかなーっ!」
パパは、・・・これが一番嬉しかったのだよ。
「あー、やっと終わったー・・・」
とかではなくて、
また、あそこ(ステージ)に立つということを、当たり前に思ってくれて。
そして、それを、そんなにも素敵な笑顔で、楽しそうに言ってくれて。
この半年、うちの家族がコロナに負けなかった一番のクスリは、マスクでも消毒薬でもなく、
「チャンチャンチャーン、チャンチャンチャンチャンチャンチャン、チャンチャンチャンチャンチャーン・・・」の
トルコ行進曲だったのだと思います。
(ちなみに、これはここでした。)
さあて、ほんと、来年はどうするかな?
それまでまた一年、色々あるとは思いますが、一緒に、毎日楽しく頑張ろうー
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。
(ちなみに、フジ子・ヘミングさんの「トルコ行進曲」は、本当に、とても優しくて、でも怖いくらいの真綿のような迫力があって、なんだか他の演奏とはまったく次元が違うので、是非です。すぐ上のリンクの演奏も軽やかで素晴らしく上手なのですが、全然違う曲のようです。比べてみて下さい。この観客の中で、一曲通して、ずっと目を瞑って弾いているというのもまた・・・色々と、凄いです。)
ではー。