(昭和61年7月20日13:30より)大道連講習 講師 長井長正 於長正館
○日本の国体を離れての剣道はない
剣道は日本民族の最も大切な教育であり、人類の愛を根源にしたものである。
之が為、剣道自体が修養に適した剣道でなければならない。
従って剣道を修養する者は剣によって、理に叶った正しさを表現しなくてはならない。
そして正しい心を養うために平素から道徳心を身につけるよう努め、剣をもって心を求め、
心をもって道を求めてゆく心がけで、不断の修錬をし、
誰からも信頼されるような立派な人柄の社会人になることが剣道の本質である。
○剣道は己れを守るためにやる
今の剣道は守りを知らない。即ち間合をはずすことを知らない。
間合によって気のつめ方をおぼえるのである。
一歩進んだら一歩退くことを教える。こうすることにより鍔ぜり合いが無くなる。
今は打つことばかり考えて、引くことを知らない。
私は剣道は藝術也と前に述べたが、藝術は天地の総合したものであり、
陰と陽との二つから成っている。故にこの二つの調子が狂うと藝術(剣道)とは言われない。
昔、命をかけて作った形にはすべて己れを守り、生き残るためのもの、
この古流の形にはすべて陰陽の理合が整然と備わっている。是非とも古流をやって頂きたい。
古流を知らずして、ただ前へ攻めて打つことばかり考えて、
あとえ間合をとることを知らない人の剣道は本物ではない。間抜けの剣道である。
前へ陽に、後ろに陰に、攻防のバランスのとれた剣道は本物である。
このように剣道で一番大切なことは間合をとることである。
ついでに述べておくが、古流の形は心が動揺しないため、肝を錬るためにやった。
然も理に叶っている。よく言う不動の精神のことだが、
磐石の精神とは違うと言うことをはっきりと認識しておいて貰いたい。
磐石の精神だけではいけない余裕のある精神がなければならない。
その点、不動の精神は一刀流で教えている敵に従うの勝、応変自在等、
相手の意に即し乍ら勝つ、即ち相手の動きに動じ乍ら動じてない。
位われ上位に在りという精神が最高の不動の精神である。
この精神があればこそ、静から動、動から静と自然に移り変るのである。
稽古で自分が打ち間に入った瞬間が勝負だから(打ちに入った時は相手も打つ間だから)
入った時の瞬間の理念を確立する。
即ち、仁義礼智信の五常の精神を確立するのが剣道の最高の姿である。
(打ち間に入った時の理念は、恩師吉田誠宏先生の教え也)
○腰の入れ方について
腹の皮の中側に、中の皮を押し出すように力を入れる。
腹は左拳、剣先の力を一致しなければならない。
腰の力は両方のつがいと臍下の三角形の総合の力である。
このように腰の中の肉を中心に考えねばならない。
蹲踞から立ち上がる時は足腰に力を入れてゆっくり立つこと。
それから剣道が始まるのである。
腹腰を中心とした自然体、これが正しい剣道の姿勢である。
顎が出ると腰に力が入らない。又、手元の堅い者は腰に力が入ってない証拠である。
腰に力が入っておらないと上達しない。
面を打つ時、左足にぐっと力を入れると左足の内ももに力が入る。
この内ももの力の入れ方が得られれば腰が座るのである。
(以下、別紙)
○正しい食生活について(元農学校教諭として)
正しい食生活をして、綺麗な血液を保つこと。
これがしっかりした肉体を作ることになる。
そこで大切な食生活でナトリウムとカリウムのことについて書いておきたい。
(本来は金属元素の一つである)
Na ナトリウム(+)(左回りの渦巻き)
人参等の根菜類の根。魚、肉、海草類。食べすぎると血液が汚れ頭に昇る。
血液を濃くする→体を温める→肉体をひきしめる→肉体のしまった病気→脳溢血、心筋梗塞
ナトリウムは比重は水より小、銀白色でやわらかい、トンネルの灯など
K カリウム(-)(右回りの渦巻き)
緑の濃い野菜。夏の作物、トマト、胡瓜等。
血を薄くする→体を冷やす→肉体をゆるめる→肉体のゆるんだ病気→癌
(毎日出来ているが、白血球が働いて免疫力で殺している)・糖尿病
カリウムは銀白色で酸化し易い。水に入れると水素を発生し、
淡紫色の炎をあげて水面を走る。ガラス、石けんの原料
我々の人生は(+)から(-)への旅路である。
赤ちゃん(+)から成人してゆき(-)で死んでゆく。
幸いにも日本には春夏秋冬の四季があり、
夏は(-)で体を冷やし、冬は(+)で体を温め、バランスをとっている。
これを中和するのが穀物なのである。
食で大切なのは生きた丸ごと生命を頂く、これが大切。
長生きする人は副食に海草類、人参、南瓜、骨つき小魚を常食とし、バランスよく食べている。
穀物→五穀(米、麦、あわ、きび、大豆)
穀物(根葉、葉菜、海草、果物)四対(魚、肉)二が大切。