稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

元旦に思う(喪中につき新年の挨拶は控えさせていただきます)

2019年01月01日 | つれづれ

(西暦2019年、平成31年、皇紀2679年、元旦、自宅にて日の丸掲揚)

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赤ちゃんは空を向いていた。(2015年12月21日、朝日新聞)

無職 馬野英子(滋賀県83)
 45年6月ごろ、靭からの空襲が終わり、友人と2人、学校からの帰り道。大阪市中心部を歩いていたら、市電の通る電車道の真ん中に人が倒れていました。その人を包むように、白い小さな花が咲いているように見えました。
 近づくと赤ちゃんを抱いたお母さんでした。おそらく後ろから米機に狙い撃ちにされたのでしょう。しっかりと赤ちゃんを抱いて亡くなっていました。白い花に見えたのは、地面に散らばったポン菓子でした。甘いもののない時代、1歳ぐらいの赤ちゃんのおやつだったのでしょうか。
 うつぶせに倒れたお母さんの肩越しに、赤ちゃんの顔だけが見えました。まん丸い可愛い顔をして空を向き、まるですやすやと眠るように亡くなっていました。
 度重なる激しい空襲でたくさんの死者を見てきましたが、泣けませんでした。死者の姿は、明日の自分の姿かも知れないと思つていたからです。でもこの時だけは友人と2人で声を上げて泣きました。そして戦争を恨み、憎みました。
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私はこの記事を読んで涙が止まりませんでした。

私の父(粕井貫次)は海軍航空隊の特攻隊の生き残りです。
出撃30分前に作戦海域の天候が不良で、特攻作戦が延期になり、
そのまま終戦を迎えて生き延び、昨年4月に94歳と言う長寿を迎えて亡くなりました。
戦後の復興期を満喫し、仕事にも趣味にも没頭できた良い人生だったと思います。
しかしながら、たまたま生き延びたということも事実です。

大東亜戦争では、戦場も国内も無く、軍人も国民も常に死と隣り合わせだったのです。
今、私が、いや私たちがここにいるのは、偶然にもあの戦争を生き延び、
生き抜いてきた方々のお陰である事は間違いありません。

そしてその陰で、犠牲となり、亡くなられた方々が、
たくさんおられた事を決して忘れてはならないのです。

戦場でない場所で母親や赤ん坊を機銃弾で撃つ事は連合国の戦争犯罪です。
しかし負けた戦争ではその非を問うことも許されません。

平和は祈っているだけでは訪れないのです。
隙があれば、たちまちにして侵略して搾取されてしまうということを、
我々は歴史や、現実に今、世界で起こっている事実から学ばねばなりません。

根本仏教の経典である「法句経」では
「己れこそ、己れの寄るべ、己れをおきて誰に寄るべぞ、
よく整えし己れこそ、まこと得がたき寄るべなり」と説きます。

個人としても、国としても同じことです。
誰にも頼ることなく、まずは己を鍛え、力と知恵を付け、
それを正しい道に使うことこそ平和への道であると信じます。

今、自分がここに存在し、いま正月を迎え、
平和を享受出来ていることに感謝せずにはおられません。

多くの犠牲者の方々が残して下さったこの日本の平和を守り、
維持していく為には、具体的にどうしていけば良いのか。
憲法はどうあるべきか、軍備はどうあるべきなのか、
世界に対しての情報発信はどうなのか、外国人の受け入れはどうあるべきなのか・・・、
様々なことが本質的に今改めて問われているように思えます。

右も左も無いのです。

政治家は今こそ、政権争いや自分の票集めや金儲け中心の活動から、
本当にあるべき日本を見出して欲しいと思います。
そしてまたマスコミも、偏った報道をしないでいただきたいと切に思います。
国民全員が真剣に国の事を考えなければならない時代が来ていると思います。

日本は世界で一番古い歴史を持つ国です。

四季があり、自然があり、貧困や犯罪の少ない日本は本当に良い国だと思うのです。
この国をどのように次の世代に伝えていくかを本当に考えなくてはなりません。

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私は剣道を修業する者です。
元々は人を殺す剣の道ですが、その道は平和への道なのです。

日本人として、少なくとも剣道を修業する者として
「剣道の理念」と「剣道修錬の心構え」を常に念頭におき、
しっかり考え、この一年を過ごしていきたいとして、元旦の抱負とします。

喪中につき新年の挨拶は控えさせていただきますが、
今年もよろしくお付き合いいただけますようお願いします。


剣道の理念
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剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である


剣道修錬の心構え
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剣道を正しく真剣に学び
心身を錬磨して旺盛なる気力を養い
剣道の特性を通じて礼節をとうとび
信義を重んじ誠を尽して
常に自己の修養に努め
以って国家社会を愛して
広く人類の平和繁栄に
寄与せんとするものである

(昭和50年3月20日制定 全日本剣道連盟)
コメント
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