く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<オオヤマレンゲ(大山蓮華)> 清楚で気品あふれる〝森の貴婦人〟

2013年06月06日 | 花の四季

【別名「ミヤマレンゲ」、利休に愛された〝7選花〟の1つ】

 モクレン科の落葉低木で、関東北部以西の標高1000mを超える山地に自生する。近畿地方の最高峰、大峰山系の八経ケ岳(奈良県)周辺の群落は国指定の天然記念物。大山蓮華の名前も最初に群生地が見つかった大峰山系とハスに似た花の形に由来する。別名「ミヤマレンゲ(深山蓮華)」。純白でややうつむき加減に花を開く。その清楚で気品あふれる花姿から〝森の貴婦人〟と称される。

 近縁種に朝鮮半島や中国原産の「ウケザキオオヤマレンゲ」「オオバオオヤマレンゲ」があり、中国では「天女花」と呼ばれる。ウケザキはホオノキとオオヤマレンゲの雑種とみられ、花はその名の通り上向きに付ける。オオバはおしべの葯の色が深紅色で、オオヤマレンゲのピンク色と異なり、花も葉も大ぶり。いずれも江戸時代には渡来していたらしい。

 オオヤマレンゲは古くから茶花として珍重され、とりわけ千利休はこの花を愛して、よく茶花として用いた。〝利休7選花〟の中にもシロワビスケやナツツバキ、ヤマボウシなどとともに含まれている。ただ、オオヤマレンゲはもともと高所に自生し、平地の庭園では栽培がなかなか難しいという。そのため、茶花として用いられてきたのは主にオオバオオヤマレンゲではないかともいわれる。

 大峰山系のオオヤマレンゲが国の天然記念物に指定されたのは今から90年近く前の1928年。指定の30年ほど前に群落を見つけた植物学者・白井光太郎は「山の東斜面に数百メートルにわたり、幅約15メートルの間に老樹が群落をつくり、まったく壮観であった」との報告を残している。地元の人は「ビャクレンゲ」と呼んでいたという。その自生地は2004年ユネスコの世界文化遺産になった「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部になっている。地元奈良県天川村の「村の花」でもある。

 だが、近年は絶滅のピンチに立たされている。原因はニホンジカによる食害。そのため奈良県は環境省とともに自生地をネットの柵で囲むなど保全対策に躍起になっている。オオヤマレンゲは奈良のほか静岡、石川、島根、山口、福岡、鹿児島の各県が絶滅危惧Ⅰ類(絶滅寸前種)に指定、昨年には埼玉県も追加指定した。

 そんな中で「町の花」になっている岐阜県上松町での官民一体の取り組みは明るい話題。町主催で写真コンテストを開いたり、愛好者でつくる「オオヤマレンゲを育てる会」が苗木を配ったり、積極的な保護・増殖活動を展開してきた。町内にある木曽・赤沢自然休養林内の自生地は6月中旬~7月上旬が見ごろという。

(訂正)上記下線部の「岐阜県上松町」は「長野県上松町」の間違いでした。「ちろ黒さん」、ご指摘ありがとうございました。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする