【ササユリ手に優雅な舞を奉納、稚児やゆり姫の行列も】
奈良市内最古の神社といわれる率川(いさがわ)神社で17日、三枝祭(さいくさのまつり)が行われた。701年の大宝律令に国家の祭祀と記された伝統の祭り。ササユリで飾った2つの酒樽をお供えし、巫女がユリを手に神楽を舞うため、一般に「ゆりまつり」として親しまれている。
同神社は桜井市にある大神神社の摂社で、神武天皇の皇后・媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)を祭神としてまつる。姫は大神神社がご神体とする三輪山の麓のササユリが咲き誇る地にお住まいだったという。三枝祭はその故事にちなむもので、毎年祭り前日の16日、大神神社境内のゆり園で丹精込めて育てられたユリの花が「ささゆり奉仕団」の方々によって届けられる。
神事は午前10時半から始まった。普段は静かな境内もこの日ばかりは氏子や観光客であふれかえった。宮司の祝詞奏上、神饌のお供えなどに続いて、巫女4人による「うま酒みわの舞」の奉納。三島由紀夫をして「奔馬」(豊饒の海・第2巻)の中で「これほど美しい神事は見たことがなかった」と言わしめた優雅な舞である。大神神社の20人余の巫女の中から毎年4人が選ばれるという。1番のクライマックスの場面。だが、幾重もの人垣の隙間から垣間見るのがやっとで、うまく撮れなかったのが心残り。神事はほぼ1時間で終わった。
午後には1時半から太鼓を先頭に行列が三条通りなどを練り歩いた。浴衣姿のお母さんに伴われたお稚児さんたちの可愛いこと。その後、花車や七媛女(ななおとめ)、ゆり姫が続く。海外からの留学生たちか、ゆり姫役の外国女性たちの姿がひときわ目を引いた。巡行の途中、見物客には厄除けの造花のユリが配られた。梅雨の晴れ間の猛暑の中。皆さん、ご苦労さまでした。