【繁殖力旺盛、「要注意外来生物リスト」掲載の種類も】
インドからヒマラヤ地方に分布するショウガ科ヘディキウム属の多年性植物。英名のジンジャーは根を食用とするショウガ(生姜)を指すが、わが国ではショウガ科植物で花を観賞するものを一般的にジンジャーと呼んでいる。日本には江戸時代に渡ってきた。
属名から「ヘディキウム」とも呼ばれる。これはギリシャ語の「ヘディス(甘い)」と「キオン(雪)」の合成語。「ホワイト・ジンジャー」とも呼ばれるコロナリウム種の花色が雪のように白く芳香を放つことに由来する。和名は「ハナシュクシャ(花縮砂)」。乾燥した種子が漢方薬「縮砂」の原料になるシュクシャによく似ていることによる。日本では白花のほか「キバナ(黄花)シュクシャ」や「ベニバナ(紅花)シュクシャ」なども栽培されている。花期は8~11月頃。
ジンジャーは中米キューバの国花になっている。花の形が大きな蝶に似ていることから、スペイン語で蝶を意味する「マリポーサ」として親しまれている。英名でも「バタフライ・ジンジャー」や「バタフライ・リリー」「ジンジャー・リリー」などと呼ばれる。ジンジャーは観賞用のほか香水の材料にも。キューバでは花の名と同じ「マリポーサ」という香水が人気という。白花はハワイで首の花飾りレイとしても使われる。
ただ、ジンジャーは地下茎を伸ばし在来植物の領域を侵食することも。とりわけキバナシュクシャは繁殖力旺盛で、国際自然保護連合は「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定。これに伴って日本の環境省もキバナシュクシャを外来生物法に基づき「要注意外来生物」としてリストアップしている。京都府立植物園では品種保存のため約100株を1鉢ごと土に埋め、地下茎が絡み合わないように配慮しているそうだ。