【熱帯アメリカ原産、かつてはハブ茶の原料にも】
米国南部~メキシコの熱帯アメリカ原産のマメ科カワラケツメイ属(センナ属)の1年草。日本には江戸時代に薬用植物として渡ってきた。ハブなど毒蛇にかまれたとき、葉を揉んですり込むと良くなるということから「ハブソウ」の名が付けられた。実際には草汁に蛇毒を中和する作用はないものの、カやブヨなどの虫刺されには効くそうだ。
花は怖そうな名前とは違って、茎の先に明るくかわいい黄色の5弁花を数輪ずつ付ける。花後に長さ10cm前後の細長い鞘ができ、その種子は煎じてハブ茶の原料として利用されてきた。ただ最近のハブ茶に使われているのは主に同属の「エビスグサ(夷草、胡草)」。薬効成分がほとんど変わらず、栽培が容易で収量も多いことによる。
このエビスグサも北米原産の1年草で、名前はかつて「夷(えびす)」と呼んでいた異国から渡来してきたことに由来する。よく似た黄花だが、ハブソウのほうがやや大きく、ハブソウは葉先が尖っている。鞘もエビスグサが湾曲し垂れ下がるのに対し、ハブソウは斜め上を向くといった違いもある。
ハブソウは漢方で「望江南(ぼうこうなん)」と呼ばれ、整腸や利尿、眼病などに効果があるといわれる。ハブソウには「クサ(草)センナ」という別名もある。「イシャイラズ」「ドクケシマメ」と呼ぶ地方も。「マムシグサ」と呼ばれることもあるが、サトイモ科の有毒植物にもマムシグサがある。エビスグサは生薬名で「決明子(けつめいし)」と呼ばれている。