く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別展「酒井抱一 江戸情緒の精華」

2014年10月23日 | 美術

【江戸琳派の祖、重文「夏秋草図屏風」など代表作一堂に】

 大和文華館(奈良市)で江戸時代後期の絵師、酒井抱一(1761~1828)の作品を一堂に集めた特別展「酒井抱一 江戸情緒の精華」(11月16日まで)が開かれている。姫路藩主酒井雅楽頭(うたのかみ)家に生まれた抱一は絵画をはじめ書、俳諧、能、茶の湯など多彩な教養を身に付けた。同展には幅広い画業を示すように、浮世絵美人画や華やかな金屏風、繊細な銀屏風、自作の句を添えた水墨、流麗な書などが出展されている。

   

 酒井抱一は江戸琳派の祖ともいわれる。尾形光琳(1658~1716)に私淑し、光琳百回忌に遺墨展を開くなど顕彰活動に力を注いだ。同展にも光琳の「波涛図屏風」を写した作品や百回忌に合わせ光琳の菩提寺、京都・妙顕寺に奉納した「観世音図」などが出品されている。六曲一双の「四季花鳥図屏風」は金地濃彩を用いて四季の花と鳥を鮮やかに描いた大作。琳派の華やかで装飾的な画風があふれる。

 「夏秋草図屏風」二曲一双(重要文化財、上の作品)は光琳筆の「風神雷神図屏風」の裏面に描かれていたもの(現在は別々に表装)。銀地に雨に打たれる夏草と風になびく秋草を描いたもので「風雨草花図」とも呼ばれる。広い余白と動きに富む草花が特徴で、華やかさはやや影を潜め繊細で叙情的な雰囲気が支配する。作品の依頼主は11代将軍徳川家斉の父、一橋治済という。「兎に秋草図襖」は秋草を墨や深緑色で描き、斜めに走る板地の木目で吹き付ける風を表す。こちらも一瞬の動きをとらえた描写で空白を生かした渋い作品。

 「四季花鳥図巻」(上の作品)は抱一の花鳥図の代表作の1つ。上下2巻合わせて長さが7mを超える巻物で、そのうち秋冬の花・鳥・虫を描いた下巻が展示されている。下巻は月にかかる萩と鈴虫、松虫から始まる。他の作品に「十二ケ月花鳥図屏風」「糸桜図」「桜に小禽図」「朝顔図」など。これらの作品に描かれた小枝や蔓(つる)の伸びやかで繊細な描写にも目を奪われた。(前後期で一部展示替え、前期は26日まで、後期は28日から) 

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