く~にゃん雑記帳

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<東大寺金鐘ホール> 奈良県スイスベルン州友好交流記念コンサート

2015年06月16日 | 音楽

【ジャズピアニストのロジェー・ワルッヒ氏、自作の『学園前』など12曲】

 映像作家の傍らジャズピアニストとしても活躍中のロジェー・ワルッヒさん(50、写真)のジャズピアノ演奏会が15日、奈良市の東大寺総合文化センター「金鐘ホール」で開かれた。13日開幕した「ムージックフェストなら」の一環で、題して「奈良県スイスベルン州友好交流記念コンサート」。スイスの首都ベルン市の旧市街は中世の町並みが残り世界文化遺産に登録されている。奈良県とベルン州はともに古都で観光地ということから今年4月、友好提携を結んだ。

     

 ワルッヒさんは1965年スイスのサンクト・ガレン市生まれ。1988年に初来日し、日本の文化や自然に魅了されて2年後に再来日、98年から日本に定住している。この間、奈良市の須山町で4カ月間ホームステイしたり、学園前の6畳一間のワンルームマンションで1年間過ごしたりしたことも。学園前の室内には調律師が倉庫代わりに置いていたグランドピアノがあり、その真下に布団を敷いて寝たそうだ。現在は奈良市に近接する京都府相楽郡在住。ワイフは奈良県出身の日本人女性。

 ジャズピアノは出身地の市立ジャズ学校で学んだ。95年に「スイスマルボロコンテスト」優勝という実績を持つ。来日後も2008年のファーストインパクト主催「第1回街のピアニスト・コンクール」でクリエイティブ賞を受賞するなど、その腕前は折り紙つき。この日のコンサートではユーモアたっぷりに曲やスイスのことなどを紹介しながら、自作の12曲を演奏した。

 その2曲目は学園前に住んでいた頃に作曲したもので、題名もずばり『Gakuenmae(学園前)』だった。その演奏の愉快なこと。演奏の合間に屋根(ふた)の開いたグランドピアノの中に、なんと20個ほどのピンポン玉を放り込んだ。すると、力強いタッチに合わせピンポン玉が弦の振動で踊るように高く低く跳ねていた。遊び心にあふれた演奏だった。

 ワルッヒさんは東日本大震災の直後、フランスとドイツのテレビ局のカメラマンとして東北を5~6回訪れた。「これまでの人生の中で一番大きな悲しみだった」と振り返る。5曲目に弾いた『Aftermath(アフターマス)』はその時の思いをもとに作った作品。曲名は「大災害の後」を意味する。静かに始まり、途中の激しい演奏を挟んで、また静かに終わる曲は鎮魂歌のように心に染みた。

 父親が亡くなった時に作曲した『Immortal Remains(イモータル・リメインズ)』や長男と長女の名前を付けた作品、先週作ったばかりでまだ無名の作品などの演奏もあった。ワルッヒさんはスイスの大使館・総領事館のイベントなどを中心に各地で演奏活動を続けており、今月21日には大阪市の旭区民センターで開かれる「音楽の祭日2015inあさひ」に出演するそうだ。

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