く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<スイカズラ(吸蔓)> 「忍冬」「金銀花」とも 花色が白から黄色に変化

2016年05月17日 | 花の四季

【主な花粉媒介者は蛾、甘い香りは夜一段と強く】

 スイカズラ科の常緑性つる植物で、日本をはじめ中国、朝鮮半島、台湾などに広く分布する。つるは右巻きで、よく分枝しながらフェンスなどに絡みつく。花期は5~6月ごろ。葉の脇に2つずつ細長い筒形の花を付ける。花冠は唇状で、上唇は先が4裂して立ち上がり、下唇は線状で下側に反り返る。その中央から長い雄しべ5本と雌しべ1本が突き出す。

 学名は「ロニケラ・ヤポニカ」。属名ロニケラは16世紀のドイツの植物学者アダム・ロニツァー氏に因み、種小名ヤポニカは「日本原産の」を意味する。和名スイカズラの語源については諸説あり、その1つに子どもたちがよく甘い蜜を吸って遊んだからというものがある。地方の呼び名を集めた『日本植物方言集成』にも「すいばな」「すいすいかずら」「すいすいぐさ」といった名前が列挙されている。そのほか▽水を吸うカズラから▽口をすぼめたような花冠の形から▽おできの吸い出し薬として用いられたから――などの説もある。

 スイカズラは「金銀花(きんぎんか)」とも呼ばれる。初め白い花色が次第に黄色に変化して、白花と黄花が混在することによる。またの名を「忍冬(にんどう)」というが、これは冬に人が身を縮めるように葉が内側に丸まって厳しい寒さを耐え忍ぶことからの命名といわれる。スイカズラのようなつる植物を図案化した文様は「忍冬唐草文(にんどうからくさもん)」と呼ばれ、飛鳥~奈良時代の仏像の光背や軒瓦などを飾った。

 甘い蜜を出し、いい香りを発散するため、花の周りはクマバチなど多くの昆虫が絶えない。ただ、主な花粉媒介者は夜に活躍する蛾(が)といわれ、香りも夜になると強さを一段と増す。花や葉を乾燥し煎じて服用すると、解熱や利尿、関節痛、湿疹、かぶれなどに効くという。花をホワイトリカーに漬けたものは「忍冬酒」と呼ばれる。沖縄地方に自生する小形の「ヒメスイカズラ」は、環境省からごく近い将来に絶滅する危険性が高まっているとして絶滅危惧ⅠA類に指定されている。スイカズラは夏の季語。「蚊の声す忍冬の花の散るたびに」(与謝蕪村)。

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