く~にゃん雑記帳

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<キバナノホトトギス(黄花の杜鵑草)> 宮崎県特産、鮮やかな黄花を上向きに

2016年11月11日 | 花の四季

【ユリ科ホトトギス属、環境省は絶滅危惧Ⅱ類に指定】

 ユリ科ホトトギス属の植物は東アジアからインドにかけて20種ほどが分布し、そのうち日本国内に12種が自生するという。このキバナノホトトギスはその1つ。ただ野生種の分布域は非常に狭く、ほぼ宮崎県内に限られている。ホトトギスの名は花被の紫色の斑点が小鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることに因むが、この野の花にも花びらの内側に赤紫色の細かい斑点が入る。

 草丈は20~30cmほど。花期は9月から11月ごろで、その名の通り、鮮やかな黄色の花を上向きに付ける。花柱は先端が3つに裂ける。姿がよく似たものに鹿児島県に分布するタカクマホトトギスがある。その名は大隅半島中央部に位置する高隈山の名前から。同じ黄花だが、キバナノホトトギスのほうが花色が濃く、葉は幅が狭い。キバナが平地の林縁や林床を好むのに対し、タカクマは主に岩場に自生するといった違いもある。

 ホトトギス属の中で同じように黄花を上向きに付けるものにチャボホトトギスやキバナノツキヌキホトトギス、タマガワホトトギスがある。このうちチャボホトトギスは全体的に小さいことをチャボ(矮鶏)に見立てたもので、キバナノホトトギスの矮小型とも考えられるそうだ。キバナノツキヌキホトトギスは茎が葉の下部を貫通する(突き抜ける)ことから。このホトトギスはキバナノホトトギスよりさらに分布域が限られ、宮崎県の尾鈴山の岩場だけに生える固有種といわれる。

 ホトトギス属には下向きに鐘形の黄花を付けるものもある。ジョウロウホトトギスやキイ(紀伊)ジョウロウホトトギス、サガミ(相模)ジョウロウホトトギス。ジョウロウは気品のある花を「上臈」(身分の高い女官)にたとえた。ホトトギスの仲間には最もポピュラーなホトトギスやヤマホトトギス、ヤマジホトトギスなど白花も多い。ただ、黄花のものに自生地の減少から絶滅が懸念されているものが目立つ。キバナツキヌキホトトギスやサガミジョウロウホトトギスは絶滅危惧Ⅰ類、このキバナノホトトギスやジョウロウホトトギス、キイジョウロウホトトギスなどは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

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